FITNESS BUSINESS

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専門チームの設置により、効率的かつ的確にニーズに応える体制を構築 ミズノグループ

2018.11.25 日 業界動向 オリジナル連載

全国で指定管理事業などスポーツ施設を管理運営するミズノ株式会社と、同じくスポーツ施設の管理運営や直営のフットサルコート、フィットネス施設の運営を主な事業とするミズノスポーツサービス株式会社。両社(以下、ミズノグループ)は、グループ企業としてのネットワークを活かし、自社製品を利用したオリジナルスポーツプログラムの開発~提供のほか、マシンなどハード面にも対応できる総合力を強みに、多くの施設を受託し、実績を積み上げている。

地域貢献度も査定のポイントに

ミズノグループでは、2018年4月現在、全国33都道府県で約164物件※1(952施設※2)を、指定管理事業、PFI事業、運営受託事業、直営事業と様々な形態で運営している。そのなかで、境野氏は長年指定管理事業に取り組んできた。同事業が始まったころと比べ、競合の増加とともに、各社とも自社の強みをアピールしようと、提案書はどんどん厚みを増していった。その結果、近年は提案書の枚数を制限する行政も出てきたといい、要点を絞ったわかりやすいものが求められる傾向もあるようだ。実際の運営においては、様々なポイントを意識することが必要になる。

「指定管理の場合、施設の運営だけでなく、施設を拠点とした情報発信や地域活性に向けたイベント開催など、スポーツ振興や地域連携も非常に重要です。それが、結果的に当社や施設を知ってもらうことにもつながります。また、行政の指定管理担当課だけでなく、福祉課や保健課などとも連携をすることで、指定管理事業以外にも介護予防事業など新たな事業で協力させていただくこともあります。施設の運営においては、単に施設利用者を増やすだけでなく、いかに行政と一緒に地域貢献活動ができるかも意識して運営に取り組んでいます」(境野氏)イベントでは、ときに地域のスポーツ系専門学校などの学生に協力してもらうなど、学んだ知識で地域の人々に貢献してもらう機会を提供することもあるそうだ。施設で提供するプログラムにおいても、地域のニーズに基づいたものを提供することが大切になる。

「基本的にどなたでも参加できることをベースにした初心者向けプログラムへのニーズが高いです。近年は’20年の東京オリンピック・パラリンピックの影響でしょうか、障がい者スポーツへの要望も高まっています。当社でも、ブラインドサッカーやボッチャなど、健常者と障がい者が交流できるようなスポーツイベントの実施に取り組んでいます」(井川氏)

そのほかにも、国が掲げる、子どもや高齢者の体力向上、働き盛り世代の運動実施率の向上など、近年は様々なことに対応することが求められる。そのため、運営側が幅広いプログラムをそろえていることは、必須といえるかもしれない。

生産性を高める教育体制が課題

ミズノグループでは、他施設への水平展開を目的に、成功事例をデータベース化して蓄積しているほか、専門チームをつくり、各地のニーズに的確に対応できるようにしている。例えば、井川氏はプログラムに特化したチームのメンバーとして提供プログラムの決定を行うほか、実際に自身でレッスンを提供することもある。そのほか、設備関連を専門にするチームを立ち上げ、グラウンド整備、草木の剪定などにも対応する。このように、きめ細やかな対応で数多くの実績を積み重ねている同社であるが、人材育成には課題を感じているという。

「この事業では、人件費がコストの多くを占めています。特に仕様書などで配置人員が定められている指定管理事業では、安全・安心の観点から必要な配置人員でいかに生産性を高められるかが課題となります。特にその部分における人材育成(多能化)が必要です」(境野氏)

さらに、指定管理事業において、主に契約更新を担当している境野氏は、一般的に3~5年という短期間で更新時期がやってくる運営についても、次の通り難しさを感じている。「運営を始めた当初からすぐに次の更新時期を見据えて動き出さなければ結果は出せません。運営を引き継ぐ場合は、引き継ぎ作業に時間がとられてさらに取り組める期間が短くなります。与えられた期間でいかに自社らしさを含め、結果を出すか。それが重要になります」指定管理事業においては、両氏ともに「公の施設の代行者という意識を常にもちながら事業をしていくことを意識している」と語っていた。

自社のカラーを出しつつも、行政の意図を汲みながら背後から地域をサポートする姿勢が必要になるということだろう。一方で、提案においては、新規参入の競合が増えてきていることもあり、「自社独自の強みを出し続けることが必要」(境野氏)。常に強みを磨いていく姿勢はやはり大切なようだ。