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Fitness Business 75 ◎ November-December 201492増え続け、10年後には、今までクラブに通えていた方が(体力が衰えて)通えなくなるということが起きてくると予想されます。一方、総合クラブは建築コストの高騰により、新規出店がますます難しくなってきています。これまでは人口が増えていくことを前提にしたビジネスモデルであったため、20年間の長い賃貸借契約でも成り立ちました。しかし、今、もし新しい店舗を20年契約でつくった場合、満了は’30年。人口が大きく減少しているなかで、本当にそこまでやっていけるのでしょうか? これからの出店には、これまで以上に市場などをよく分析してから判断する必要があります。このような状況のなかで、当社では介護予防に向けていろいろな取り組みを始めました。まずは’95年にシニア会員制度を導入したことにより、高齢者の会員比率がぐんと増えました。 ’05年からは、東京都健康長寿医療センターの指定事業者として、介護予防運動指導員の養成をスタートしました。さらに同年、筑波大学の田中喜代治教授と協同で、転倒予防プログラムの効果検証を行ったり、’06年からは自治体の地域支援事業の受託を開始しています。’11年には五感を刺激することによって脳を活性化させる「シナプソロジー」を開発し、’12年からはリハビリ特化型デイサービス「元氣ジム」を、そして今年度からは訪問型のリハビリサービスをスタートしました。これらの取り組みによって、状態の異なるそれぞれの方に対応し、地域全体の本誌が隔月で開催している「フィットネスビジネス勉強会」。その第37回が2014年8月26日「医療介護推進法の成立は、大きなビジネスチャンス、機会を捉えよう!」をテーマに、パネルディスカッション形式で開催された。パネリストにセントラルスポーツ株式会社執行役員介護予防事業部長相川正男氏、株式会社ルネサンス執行役員経営企画部部長安澤嘉丞氏、株式会社東急スポーツオアシス営業開発部ヘルスケア事業マネジャー桑田勇人氏の3名をお迎えし、介護予防ビジネスの可能性やそれ取り組む際のポイントなどについて意見を交わした。初参加の方も多く、関心の高さが伺えた。以下に、その抄録を紹介する。(司会、本誌編集長古屋武範、以下、敬称略)T O P I C S医療介護推進法の成立は、大きなビジネスチャンス。機会を捉えよう!トピックス―まずは皆さまが直近で取り組まれていることについて教えてください。安澤:最初に、まだ介護予防事業に携わったことがない方のために、クラブを取り巻く環境について簡単に説明させてください。介護予防は、一次、二次、三次の3つに分かれており、一次予防には、主に元気な方を対象に「この先も介護を必要としないようにする」という目的があります。二次予防は、少し虚弱で「もしかすると介護が必要になりそうなので、何か手を打たなければ」という方を対象に、自治体が地域支援事業などとして取り組んでいる場合が多く、三次予防は「すでに介護状態だが、重症化を防ぐ」ことを目的にしています。現在この市場は健常者が7割ほどで、要介護、要支援状態で二次予防の対象者といわれている方はまだ3割にも満たない状況です。しかし、日本の人口は2008年をピークに減少の一途をたどっています。要するに人口減少と高齢化が同時進行しているのです。 ’15年には団塊の世代がすべて65歳以上へ移行し、さらに’25年には75歳以上という後期高齢者に移行します。団塊の世代が後期高齢者に移行すると、日本人の5人に1人が75歳以上の高齢者となります。現在の健康寿命が70歳前後といわれているところ、平均寿命は男性も80歳を超えてきていますから、その差である約10年間は身体に何かしらの不具合を抱えた状態で生活することになります。このような方がこれから株式会社東急スポーツオアシス 営業開発部 ヘルスケア事業マネジャー 桑田勇人氏セントラルスポーツ株式会社 執行役員 介護予防事業部長 相川正男氏株式会社ルネサンス 執行役員 経営企画部部長 安澤嘉丞氏

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