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Fitness Business 75 ◎ November-December 201430CSV時代の健康マーケティングFeature特 集ろうとする姿勢をもつ世代といえる。ただ、若手層を中心に、組織を前向きにする空気感をつくるには、上司が普段からのコミュニケーションを通じて信頼感や、チームとしての絆の強さを育んでいることが前提として必要だろう。CSV経営を進めたくなったからといって、急に若手の関心をそこに向けようとしても難しいだろう。それがあったうえで、「社会的課題を伴う独自の戦略的な取り組みから、自社が経済的価値を生み成長することで、日本がよくなり、さらに自社も成長していくという好循環に主体的に関わることで熱狂が生まれる。このような熱狂的な意志を多くの社員がもてるようにすることが重要となる」(藤井氏)。若手層が主体的に取り組むようになるためには、プロジェクトを組んでからの初動が大切であり、早い段階でいかに前向きに取り組めるアイデアを出せるようにするかが求められる。藤井氏が所属するデロイト トーマツ コンサルティングでは、CSV経営の推進にまつわる幅広いコンサルティングによって、クライアント企業をサポートしている。さらに重要なこととしては、これまで藤井氏が繰り返し述べているように社会的課題を明確化して取り組むことがある。それには「NGO/NPOなどからアイデアをもらい、連携して取り組むとよい」(藤井氏)と言う。同氏はひとつのアイデアとして、「ソーシャルベンチャーを招いてビジネスコンテストを開催し、自社と親和性の高いベンチャー企業に投資したり、一緒に事業展開を図ったりというようにしていくこと」も挙げていた。ⅡCase Study 事例研究フィットネスビジネスに関わるプレーヤーが、CSVにおいてどんな健康マーケティングができると考えられるか、業界内外のプレーヤーや識者らに取材し、それを実現するうえでのヒントを探ってみた。Case Study 1高齢者問題に対応したサービス「プレイケア」の開発と展開株式会社プレイケア 代表取締役社長 川﨑陽一氏Profile◆かわさき・よういち1994年中央大学卒業後、株式会社バンダイに入社。玩具業界にて様々なマーケティングを展開しつつ、高齢者施設などでボランティア活動を行う。’03年社内ベンチャー大会入賞、同社設立、代表に就任。ボランティアをきっかけに、 事業化プランを発想「プレイケア」とは、「遊びの気づき」という意味。株式会社プレイケアの創業者であり代表取締役を務める川﨑陽一氏が、高齢者らを笑顔にしたいとの思いから辿り着いた概念だ。人々が笑顔になる遊びを、そして遊びがもたらす効果について、いろいろなところで気づき、それをかたちにして―自分自身の趣味や特技を活かしたオリジナルのメニューなども、積極的に開発・創造して―提供し、笑顔の輪を広げていくことをいう。 川﨑氏は、そのポイントを「笑いをつくる人自身が、まず様々な遊びを知っていなければ対象者に伝わりません。また、対象者がどんな遊びをしたいのか、どのような自己実現をしたいのかに気づいてさしあげることも大切です。この2つの気づきがあって初めて、お互いに満足するメニューが創造されるのです」と語っている。今では全国13軒の特養・老健などの施設内に、「プレイケアセンター」という名称の“たまり場”をつくり、そこでこの「プレイケア」を提供するとともに、プレイケアを提供できるスタッフである「プレイケアリーダー」やプレイケアセンター自体のマネジメントができる「プレイケアマネージャー」の養成にも力を注いでいる。プレイケアセンターでは、様々な専門家やボランティアなど(プレイケアサポーター)と提携するなどして、レクリエーションやエクササイズ、講座など、さまざまなイベントやクラスを提供するなかでコミュニティづくり

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