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運動指導者の人手が不足している昨今、高齢者が高齢者を指導するプログラムの需要が見込まれる。その先駆けともいえるのが、公益財団法人体力つくり指導協会が主催する高齢者うんどう教室である。平成26年10月現在、関東を中心に全国62箇所で教室が開かれ、その内45箇所は自治体や地域住民が主体となって運営している。 自治体の協力を得て公共の公園に4つの遊具(うんどう器具)を設置し、最初は協会職員が指導に当たるが、同時に地域指導員を育成し行政主体の教室へと移行させていく。広報誌などでボランティア指導員を募集し、教室開始から2年間の『地域指導員実践指導教育』を修了した指導員に『高齢者体力つくり支援士コミュニティライセンス』の資格を認定。その頃には地域指導員が主体となって教室を運営・指導するようになっている。 主なプログラムは『つまずかないうんどう』『かいだんうんどう』『ふらつかないうんどう』『全身のびのびうんどう』の4つ。7万5千人を超す指導現場で参加者の反応を見ながら、元々13あったメニューを覚えやすいよう凝縮した。「無理なく運動に励み、定着・自立・習慣化を促すためのプログラム」と話すのは、同協会主任研究員で事業開発者の西城眞人さんだ。フルマラソンにも参加する元気の良さで、72歳になった今も日本中で指導を続けている。 「①物=遊具、②人=地域指導員、③事業=うんどう教室、この3つをバランス良く機能させ、自立を促すことが我々の仕事。自立した教室の中で、参加者不足などにより存続できなくなった場所はひとつもありません。地域指導員の養成がしっかり根付いている証拠です。また、外の風や暑さ寒さを感じることで免疫力を高めるため、基本的に教室は屋外。高齢者を対象とし、屋外で遊具を使い夏冬、年間を通じて定期的に開催する日本唯一の教室です。24時間誰でも無料で使用できる公園に器具を設置することも、運動の習慣化を妨げない大事な要素になっています」 教室のターゲットである後期高齢者は、寝たきりにならないよう運動の習慣化が特に必要である年代。現代では65歳以上が高齢者と言われているが、65歳以上の方でも自分を高齢者だと思っていない人はたくさんいる。財団職員で指導にもあたる本庄勇二さんはこう話す。 「前期高齢者と後期高齢者をひとくくりにしてしまうと体力の差が大きく、その人に合った運動ができなくなってしまいます。一概には言えませんが、要支援1・2のように区分けがあると、より効果的なプログラムを提供することができると思います。うんどう教室は、今後自治体が支援することになる介護・要支援の認定同程度の体力の方でも参加可能です。口コミで教室の情報が広まって参加者が増え、バス旅行や芋煮会を行っている地域もあるので、この教室が外に出るきっかけや、コミュニティの場になってくれればと思っています」お話を聞いた方西城眞人さん公益財団法人体力つくり指導協会 主任研究員高齢者うんどう教室運動指導者の活躍モデルProfile名前 本庄勇二さん(35歳)肩書き 公益財団法人体力つくり指導協会東京事業所1課 係長 資格 高齢者体力つくり支援士、ドクター 玉川大学文学部卒業後、現在の公益財団法人体力つくり指導協会に就職。山梨県、長野県を経て高齢者指導を専門におこなっている東京事業所に配属。東京を中心に埼玉県、千葉県等で高齢者の指導、遊具の開発業務など幅広く活躍。Message 仕事の内容は、高齢者に向けた運動指導、受託先である各自治体との調整、体力測定のデータ分析等多岐にわたる。介護予防を目的とした「うんどう教室」での指導を中心に活動し、一人でも多くの高齢者が寝たきり、介護のお世話にならないよう、運動習慣化の大切さを伝えている。多くの高齢者と現場で接していると「これまで病院に何年も通っていたが、運動を毎日続けるようになって肩や膝や腰の痛みが和らぎ、日常生活が楽になった」と嬉しそうに話してくれる方が数多くいる。このような生の声を聞くのがやりがいになっている。November,2014 www.fitnessjob.jp25する拡大高齢者マーケットを狙え!

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