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介護予防運動指導員、介護予防主任運動指導員 介護予防の分野での運動指導員資格として民間企業から市町村によるサービスに至るまで広く活躍している介護予防運動指導員。同資格は、まだ日本に「介護予防」という言葉がなかった2004年に、医療関係者と運動指導関係者が、高齢者の身体の状態について共通の理解のもとに介護予防運動指導にあたれるよう創設されたもの。認定団体の東京都健康長寿医療センター研究所は、1972年に東京都老人総合研究所として開設された機関で、これまで40年以上にわたり、老化や高齢者疾患などに関する基礎研究や社会科学的研究を行ってきている。「介護予防」についても、3,000名以上の高齢者を対象とした研究で得られたデータに基づいて、介護予防人材の育成プログラムを開発、これまでに介護予防運動指導員養成コースを実施する67の認定団体において「介護予防主任運動指導員」400名、そこで認定をうけた介護予防の運動指導にあたる「介護予防運動指導員」27,000名を輩出してきている。 東京都で開発されたものであるが、現在までに全国的に介護予防分野で信頼され、取得者も年々増えている指導資格となっている。同プログラムの開発~普及にあたる同センター高齢者健康増進事業支援室研究副部長の大渕修一さんは、その狙いと経緯をこう話す。 「『介護予防』は、開発当時は医療関係者にとっても運動関係者にとっても新しい分野でした。そのため既存の知識や経験に新しい知識を少しプラスするだけではだめで、根本的に高齢者の身体や心の変化への理解が必要になると考え、カリキュラムを構築しました。講座の内容は、個々の高齢者のリスクに対する的確なスクリーニング、運動器機能の向上、栄養改善、口腔機能向上など、多岐にわたる内容をカバーしています。また、介護予防運動主任講座では、ケアマネジメントや地方分権時代に求められる保健・福祉論なども学び、2015年以降進められる市町村の取り組みにも対応できるように、地域ごとの特有な課題への理解と、的確な介護予防運動の仕組みと指導が提供できる内容も網羅しています」 大渕さんが今後の介護予防運動の動きの中でも特に注目していることとして2つを挙げる。 一つは地方自治体の動きである。2015年の介護保険法の改正で市町村に要支援者への権限委譲が進められるが、その理由として、地域ごとの課題やニーズが多様化していることがある。運動提供者は、高齢者にとって安全で効果の高い運動プログラムを提案実施することに加えて、地域の課題や自治体担当者の課題をよく理解したうえで、高齢者の介護予防の仕組みづくりを提案する機会も増えていく。大渕さん自身も、市町村主導の介護予防事業の先進事例や成功事例をセミナーなどで自治体担当者と共有する機会も増やしている。 もう一つは、高齢者自身のモチベーションや自主性を惹き出す重要性が高まっていることである。介護予防には、運動機能だけでなく、認知症や栄養不足や口腔機能など複数のファクターが存在している。介護予防事業者は環境を準備するものの、「インフォームドチョイス」と呼ばれる、高齢者自身が必要性を感じて参加する環境をつくることも重要だ。また、今後高齢者が増えることで、元気な高齢者に主体的に介護予防に関わり推進して貰う介護予防コーディネーションの必要性も高まっている。大渕さんはこう呼びかける。 「介護予防運動に関わる人にとっては、2015年からの改定は千載一遇のチャンスとも言えます。運動のプロとして、結果にこだわり適切な指導を提供していくこと、また、地域の課題に対して適切な提案をしていくことで活躍の場を大きく広げることができるでしょう。将来、高齢化社会を迎える日本にとっては、国民全員が介護予防に関する知識を持つことが理想です。そのうえでは、介護予防に理解のある指導者はまだまだ不足しています。ぜひ業界みんなで取り組んでいきましょう」お話を聞いた方大渕修一さん東京都健康長寿医療センター高齢者健康増進推進事業支援室研究副部長医学博士、理学療法士介護予防運動指導員の推移介護予防運動指導員が他に持っている資格02,0004,0006,0008,00030,00020,00015,00010,0005,000010,00010,0008,0006,0004,0002,000020052006200720082009201020112012201320146,4708,5812,5678,9498,2882,9142,3451,9481,6111,4889857276141,8521,4261,3751,4601,8921,6575166,47015,05117,61819,47020,89622,27123,73125,62327,28027,796累計養成数(年)(人)(人)(人)訪問介護員(2級以上)介護福祉士健康運動指導士等介護支援専門員看護師はり師きゅう師受動整復師あんまマッサージ指圧師准看護師02,0004,0006,0008,00030,00020,00015,00010,0005,000010,00010,0008,0006,0004,0002,000020052006200720082009201020112012201320146,4708,5812,5678,9498,2882,9142,3451,9481,6111,4889857276141,8521,4261,3751,4601,8921,6575166,47015,05117,61819,47020,89622,27123,73125,62327,28027,796累計養成数(年)(人)(人)(人)訪問介護員(2級以上)介護福祉士健康運動指導士等介護支援専門員看護師はり師きゅう師受動整復師あんまマッサージ指圧師准看護師その他の資格栄養士(管理栄養士含む)428人、理学療法士362人、社会福祉士316人、介護職員基研修課程修了者264人、作業療法士219人、歯科衛生士139人、保健師133人、助産師16人、医師14人、実務者研修修了者11人、言語聴覚士8人、初任者研修終了者6人、准看護師3人、臨床検査技師1人November,2014 www.fitnessjob.jp19する拡大高齢者マーケットを狙え!

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