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「負荷」への「適応」効率を高める食事バランス 大手食品メーカーでサプリメントの開発に15年以上携わってきた桑原弘樹さん。この春からアドバイザーの立場となり、豊富な経験をもとにした、食事やサプリメントの活用法について啓発を続けている。 日本でも世界でも、栄養学の研究においては、スポーツ栄養の分野が常に最先端にあるという。新たに注目される栄養素や、既存栄養素についての新しい知見についての臨床研究は、まずスポーツ栄養の分野で検証される。そこから一般生活者の健康づくりへと応用されていくという。桑原さんも、これまで新商品開発を行う過程で、スポーツ種目を問わず、トップレベルで活躍する選手のパフォーマンスアップに関わってきた。それは、ボクサーやモデルなどの減量を含めた身体づくりや、成長期の子どもやジュニアアスリートなど、多種多様な環境と目的を持つ人々の身体づくりでもある。そして、今、その経験から得られた知見を『桑原塾メソッド』というオリジナルのメソッドとしてまとめつつある。 「身体づくりで重要かつ普遍的なことは、食事のバランスを目指すべき方向に整えることです。桑原塾メソッドでは、これをPFCバランスとして積極的に変えていきます。PFCのPはプロテイン(たんぱく質)、Fはファット(脂肪)、Cはカーボ(炭水化物)の頭文字ですが、この3大栄養素のバランスを意識して、目的に応じて食事内容を変えていく方法です。運動を採り入れて身体を変えようとする人向けのメソッドで、運動による身体への『負荷』に、効率よく『適応』出来ることを目指します。『負荷』に関しては、様々なトレーニング理論があり効果的な方法が実践されていますが、『適応』に関しては意外に甘くなりがちです。適応とは主に栄養と睡眠(休養)を指しますが、睡眠は生理現象として疲れれば眠くなるので最低限は確保されていきます。しかし栄養面は生活習慣や嗜好など様々な影響を受けて必要量が過不足をおこしがちです。そこで、この栄養面を適切に整えることで身体の適応を最も効率的に行おうとするのが桑原塾メソッドの考え方です」 第一ステップは、朝と夜の食事ボリュームを変えるだけ 桑原塾メソッドは、3大栄養素の基本バランス指標と、求める目的に合わせた内容によるバランスの変え方についての指標と、そこに近づけるためのステップを用意している。目的が明確で達成の必要性が高いほど、きめ細かな栄養バランスの調整が必要になるが、一般生活者のダイエットをはじめ“取り組みやすさ”が優先される場合には、極めてシンプルなバランスのとり方から提案する。 「朝食のボリュームを増やし、夜の食事を絞る。まずはこれだけでも身体は変わります。その理由は、夜の代謝を活性化させることで、睡眠時代謝による消費カロリーを増やすことができるからです。脂肪燃焼のために有酸素運動に取り組む方も多いですが、1日30分~1時間程度で、週に数回できれば良い方です。有酸素運動は1時間あたりの代謝量は多いものの、運動を終えた後にはすぐに代謝量は元通りになってしまいます。その一方で眠っている時は、時間当たりのエネルギー消費量は少なくても、睡眠時間トータルでの消費量は大きいものとなります。この時間帯の代謝量を少しでも高める工夫をすることで、効果的に脂肪が落ちていくのです。やり方は至ってシンプルで、寝る2時間前程度までに食べ終わるというものです。胃に食べ物が残っていると、その時間は消化~吸収に充てられてしまうので、就寝時に空腹の状態になるようにすることです。消化吸収時間の目安は、アミノ酸20分、プロテイン2時間、ゆで卵3時間、お肉5時間と言われます。従って、夜は消化のいいものをボリューム(量)を絞って食べる。その分、消化~吸収に時間がとれる朝食・昼食にしっかり食べる。また、量だけをコントロールすると、どうしても炭水化物と脂肪の割合が多くなりがちなので、必要に応じて午前中~午図1 桑原塾メソッド理想の食事量は『逆ピラミッド型』一般的な食事量逆ピラミッド型の食事量朝食を出来るかぎり多く摂取するPFCバランスの取れた食事を意識寝る2時間前までに晩の食事を終わらせる食事の充実を基本に、サプリメントを効率的に活用晩昼朝晩昼朝「負荷」への「適応」効率を高める食事バランスとサプリメントの活用法総論2理想の食事3つのポイント123+運動指導者が知っておきたい食事栄養とHow to eat &What to eat14September,2014 www.fitnessjob.jp

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