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ニコラス・ぺタスさんのファンクショナルトレーニングマーケティング 理論開発グレッグ・グラスマン氏 高校の体育教師グレッグ・グラスマン氏が、様々なスポーツ競技がある中で、誰が最もフィットネスレベルが高いかとアスリート仲間と議論した末に、「身体がどれだけ緊急な環境に対応できる準備ができているか。つまり生きる力だ」という結論に行き着いた。 そこで、その生き抜く力を10の体力スキル(表参照)としてまとめ、その全てを高められるトレーニングを行いながら、無酸素(ATP-CP)系・乳酸系・有酸素系という3つのエネルギー代謝全てでのパフォーマンスを高めることも狙うトレーニング様式を構築した。 基本理論 トレーニングの目的を「ワークキャパシティ高める」こととし、10の基礎身体スキルを高める要素をバランス良く入れていく。10の基礎身体スキルとは、「心肺機能」「スタミナ」「ストレングス」「柔軟性」「パワー」「スピード」「コーディネーション」「機敏性」「バランス」「正確性」。各動作では、下記の順でレベルを高めていく●メカニクス:動きのフォームや身体の使い方。負荷をかけず正しい動き方を習得する●コンシステンシー:正しいフォームに負荷をかける。通常WODでは1種目5~10回の反復回数でインターバルを組むため、設定の回数を正しいフォームで行える負荷を記録し、身体スキルの高まりとともに負荷も上げていく●インテンション:定期的に、最大重量や最大強度に挑戦する日をイベント的に設ける。最大重量の測定は、トレーナーや仲間のアシストのもと、1回挙上重量を測定する。確実に重い重量が挙げられるようになっていくことがモチベーションにも繋がる セッションの 基本構成 ①ストレッチとウォームアップ:ダイナミックストレッチと有酸素運動など10分程度②キルトレーニング、最大重量測定:「メカニクス」「コンシステンシー」「インテンション」からその日のWODと関連づけたトレーニング 20分程度③WOD(Workout Of the Day・今日のトレーニング)」15~20分程度※WODは、「ウェイトリフティング」「ジムナスティック(自重動作)」「メタボリックコンディショニング(カーディオ)」の3種類のエクササイズで構成していく。※WODの動きは、10の基礎身体スキルが高められるよう、日々違う動きと回数で構成、時間で構成される。 格闘家のニコラス・ペタスさんは2012年に東京1号店となるリーボッククロスフィットボックスをオープンし、同店は日本のクロスフィットボックスの中でも最も高い収益をあげている。その経験をもとに、2014年9月にも新たなボックスを港区にオープンする準備に入っている。これまで日本でのクロスフィットボックスは合計7店舗(米軍基地内のボックスは含まず)。2014年はさらに3~5店舗が加わる予定で、その成功モデルも見え始めてきている。日本でのビジネスモデルについてペタスさんはこう分析する。 「米国でクロスフィットが人気を集めている要因には、成果の高さや、グループで行うことによるモチベーション維持などのがあります。それに加えて、日本でもスタートアップのコストが低く抑えられることや、年間3,000ドルでクロスフィット本社とのアフィリエート登録、リーボックネットワークに加盟できることで、様々な情報共有や露出の機会を得られることがボックスオーナーにとっては魅力だと感じます」 日本のクロスフィットはオーナーの志向によって大きく3種類に分けられるという。一つはクロスフィット世界大会に向けた「選手養成型」で、このタイプは日本で初期にオープンしたボックスに多い。次に、スポーツ選手の強化を目的とした「ベーストレーニング型」。そして近年増えているのが「一般生活者型」である。一般生活者型は日本の環境にローカライズされており、キレイ好きで就労時間が長い日本人の生活環境に合わせて、アクセスの良い大都市の駅近立地を選ぶことが成功のポイントとなる。初期投資も米国のボックスに比べると高くなるが、人口が密集していることで集客もしやすく、利益率も高く維持できる。同ビジネスモデルの成長可能性から、ペタスさんも1店舗目から投資家からの資金援助が受けられている。これは世界的にみても稀だという。今後日本でもさらに浸透が進むとペタスさんは期待している。 「2013年からクロスフィットトレーナーの資格テキストと教本が日本語化され、日本人の指導者の育成も加速していきます。クロスフィット大会のイメージで、『キツい』イメージが先行していますが、ファンクショナルトレーニングのコンセプトが浸透するにつれて、クロスフィットで提供するトレーニングの価値もより理解いただけると思います。今後、クロスフィットが広がるとともに、色々なイメージを持つ方が増えると思いますが、基本的には多様多種のファンクショナルムーブメントを高強度で行っている限り、クロスフィットと言えます。ビジネス上の自由度が高いこと、リーボックの支援を受けるチャンスがあるのがクロスフィットビジネスの魅力です。将来的には全国展開でボックスを経営するとともに日本のクロスフィットを牽引していく存在になりたいです」July,2014 www.fitnessjob.jp19

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