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2年前、フランスのルーキーコンテストに日本人として初めて参加。昨年11月に日本で初開催となったルーキーコンテストでは審査員を努めた魚原大さん。今年、プロ部門での出場を決めたのは、その審査中だったという。「俺のいるべき場所は、この席じゃない。プレゼンターとして勝負したい」。それから1年間。「参加者の中で、一番準備した自信がある」と話す魚原さんは、実力でプロ部門の優勝を勝ち取り、世界への挑戦の支援金として用意された賞金30万円を手にした。今の心境をこう語る。 「『一番準備した自信がある』といっても、ルーキーコンテストは一つの通過点。自分が目指すワールドプレゼンターに近づくうえで、優勝することを自分に課していたんです。ある意味、優勝することしか考えていませんでした。ただ、人との比較ではなく、どれだけ自分を出せるか。そこに焦点を絞っていたので、今回のコンテストを通じて自分のスタイルが見えたこと、それが〝優勝〞という形で認められたことで、自分がやってきたことが間違っていなかったと感じられたことが何より嬉しいです」 いつも自信に満ちているように見える魚原さんだが、実はコンテスト1ヶ月前まで悩みと迷いの連続だったという。その〝自分のスタイル〞が見つけられないでいたのだ。英語力をつけるために3ヶ月間カナダで過ごし、ダンススキルを高めるためにダンス系のワークショップや指導にも積極的に関わり、また、コンテストの長丁場を高いモチベーションで乗り切れるために、機能的な身体の使い方を身に付けようとピラティスやファンクショナルトレーニングにも励んできた。だが、最も肝になると考えていた〝自分のスタイル〞に対する迷いが晴れたのは、コンテストのわずか3週間前。北海道で開催されたイベントの打ち上げでお酒を飲みながら後輩インストラクターの岩橋悠太さんに言われた言葉がきっかけとなった。 「大さんは、音ハメが上手いですよね」 〝音ハメ〞とは、マイケルジャクソンのように、曲調に合わせて動きの中にポーズを組み入れていくもの。動きにメリハリが出て、曲との一体感も高められるスキルである。魚原さんは、この一言に、「そうか、それだ!」と感じ、そこから一気に最終審査のプレゼンテーションイメージをまとめ上げていった。自分も好きで、レッスンでもよく使用しているこのスキルを活かそうと、自分が格好良く見える動きをコリオに入れ込み、最終審査の20分間が一つのショーのように感じられるように、ドラマチックなストーリー展開を考えていく。コンテスト当日まで毎日重ねたイメージトレーニングでは、終わった後のみんなの拍手や表情までを鮮明にイメージしてい魚原大2000年某フィットネスクラブに入社。高齢者や障害を持っている方の機能改善、生活習慣病改善のプログラムに携わる。ベビーやキッズのスイミングコーチなども兼任し5年間勤務する。2007年・エアロビクス養成コースを卒業後フリーランスとなる。2009年・NEXTインストラクター・オブ・ザ・イヤー受賞。国内や海外でもプレゼンターを務める。FIC代表・健康運動指導士・JAFA/ADI・障害者スポーツ指導員・リトモスオフィシャルトレーナー。たという。そして当日。そこには既に迷いはなく、自分を出し切ることだけに集中する魚原さんがいた。 この体験を通じ、魚原さんはこう話す。「ルーキーコンテストの空気感に触れるだけでも、凄い成長できると感じます。みんなライバルだけど、気づくとお互いに応援してるんです。みんながそれぞれ自分らしさを出し合うから、自分の番が控えていても、ステージ脇で仲間のパフォーマンスに惹き込まれるし、仲間に拍手を送りながら、自分も最高のパフォーマンスを発揮しようと強い気持ちが湧いてくる。本気の切磋琢磨の場。もちろん審査結果に一喜一憂もしますが、それもすべて将来への成長のエネルギーになる。自分も環境が許せば、これからも毎年挑戦を続けていきたいと思います。そして将来的には、身近な人が世界で活躍することで、大きな夢を持つ人が増えて、その中からスーパースターが誕生する。その一翼を担っていきたいと思います」 プライベートでは今年1月に入籍、7月には第一子の怜依(れい)ちゃんを家族に迎えた。家族と仲間に支えられることへの感謝の気持ちに比例するように、更なる高みを目指す魚原さんの益々の活躍に期待したい。ルーキーコンテストの空気感に触れるだけでも、凄い成長できると感じます。プロ部門 優勝魚原大さん

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