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メンタルヘルスへの運動効果が解明されつつあることによるビジネスチャンススポーツ基本法の施行で、スポーツを支える環境整備に新たな機会オリンピックを通じアジアのリーダーとなる日本の経済活性化を スポーツ基本法が、2011年8月24日に施行された。1961年に施行されたスポーツ振興法を50年ぶりに改正したもの。今後文部科学大臣が「スポーツ基本計画」をまとめ、その後、都道府県および市町村が「地方スポーツ推進計画」をまとめることで、地域の具体的な活動がスタートすることになる。 スポーツ基本法が制定された背景には、約1年前の2010年8月26日に文科省が策定した「スポーツ立国戦略」がある。その中には、「ライフステージに応じたスポーツ機会の創造」「世界で競い合うトップアスリートの育成・強化」など、既にフィットネス指導者が関わっている内容が重点戦略として置かれている。また、スポーツを「世界共通の人類の文化」として位置づけ、スポーツをする人だけでなく、スポーツに親しむ環境づくりや、障がい者スポーツに関する項目も付加された。単にスポーツを振興するのではなく、スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことが基本理念として示されている。 1964年の東京オリンピックは、93の国と地域が参加して熱戦を繰り広げ、アジア初のオリンピックは大成功に終わりました。同時に首都高速道路や東海道新幹線が開通し、日本は高度経済成長の足がかりをつかみ、世界に向けて戦後の復興をアピールしました。東京オリンピックの功績は都市の発展や経済成長のみならず、日本にスポーツを普及させた点にあり、日本サッカーリーグの誕生、スポーツクラブの一般化など、スポーツが生活の一部となるきっかけとなりました。皆様が活躍されております、フィットネスクラブの原型とも言うべき機運が起こってきましたのも、オリンピックがきっかけであったといえます。 現在日本では、経済の復活はおろか、震災の爪痕も強く残っております。このような時だからこそ、開催国となることで、日本スポーツ界の活性化と競技力の向上を図るだけでなく、前回の東京オリンピックの時以上に、世界中に対して日本の助けあう「絆」の強さや日本の底力をアピールし、日本の真の復興のために、世界最大の祭典と言えるオリンピック・パラリンピックの力が必要です。国立競技場改築や都市防災機能向上など、現在進行している大規模な都市整備が完成する2020年こそが、オリンピック・パラリンピック招致の最大かつ最後のチャンスともいえます。 是非、スポーツ・フィットネスに関わるインストラクター・トレーナーの皆様のご協力により、スポーツから人々の交流を促し日本を活性化させる大きなきっかけとなる2020年東京オリンピック誘致を実現させましょう。そうした意味ではこれに共通する理念を持つフィットネス関係者が果たせる役割は大きい。 この環境変化をチャンスに変えるためには、今後これに関わる予算がどのように具体化されていくかを見極め、関係者との情報共有を進めながら、フィットネス指導者がその活動の一端を担えることを関係者や地域に啓発することが必要となる。 現在のところ、このスポーツ基本法に基づく新たな予算として、「地方自治体が推進する大会への一部補助」「施設の設置・補修への補助」などが案に上がっているものの、まだ具体化されていない。当初は施設などの環境整備が先行されると予想されるが、必ずそこには指導者が必要となり、民間の指導者でも相応の資質や資格を持ち、自治体や関係組織に認められれば活躍できる可能性は大きく開かれている。 今後、文部科学省や自治体がそれぞれ 「スポーツ基本計画」や「地方スポーツ推進計画」をまとめた際には、自治体ごとに活動費も予算化され、地域の教育委スポーツを支える環境整備に新たな機会文部科学省 オリンピック招致 国の施策とフィットネス指導者のビジネスチャンスstudy 03員会が中心となって、事業が企画される。国や都道府県に努力目標が掲げられているため、今後、各地方自治体で、その目標達成への施策が策定され公表されることになる。今後の動きに注目したい。鈴木隆道先生インタビュー 企業では近年うつ病者が急増し、メンタルヘルスへのニーズが高まっている。そのため、働く人の健康増進のために厚生労働省が制定している「心と体の健康づくり運動=THP(トータル・ヘルス・プロモーション・プラン)」の活動が改めて注目されており、その担い手としてのヘルスケアトレーナーや心理相談員の職域が広がりつつある。 企業のメンタルヘルスについては、労働安全衛生法のもと、社員100名以上の企業は安全推進委員会を設置しなければならず、全国各地にある産業保健推進センターや産業保健推進連絡事務所がその活動を支援している。 ヘルスケアトレーナーの資格取得講習会では、こうした企業の健康推進の仕組みが学べるとともに、地域の産業保健推進連絡所と情報交換をすることで、企業の健康増進に携われる機会が増えている。メンタルヘルスのための運動効果についても多くのエビデンスが得られてきており、今後運動指導者が活躍できる新たな分野としても注目される。厚生労働省 労働基準局お話を聞いた方鈴木隆道さん東京都議会議員東京都議会オリンピック・パラリンピック招致議員連盟 事務局長25年間区政・都政に携わり、数々の要職を歴任。2020年の東京オリンピック招致に合わせ、「都市基盤の整備」「緑と自然創出・保全」などの諸問題にも精力的に取り組み、新しい地域の再生と発展に尽力を注いでいる。22November,2012 www.fitnessjob.jp

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