NEXT67
32/60

32October,2012 www.fitnessjob.jp たとえば、自分のお客様が減ってしまった時、お客様からクレームを頂いた時。もしも「お金のため」とか「お客様に喜んでいただくため」といった外発的モチベーションだけを持っていたら、とても落ち込んでしまうことになりかねません。そもそも、落ち込んでしまうこと自体は、なんら悪いことではないのですが、その「落ち込んでしまった心理状態」では、「冷静な判断」ができなくなるので、実際はここが問題なのです。 ではどうするか。どんなに自分にとって不都合な困ったことがあっても、内発的モチベーションである「仕事をすることで自分を向上させていこう」という気持ちを意識していれば、まったく自分の行動は変わってきます。「ああ、今日のクレームは、つらかったな。でもクレームのおかげで、自分が直さなければいけないことが具体的にわかってよかったじゃないか」とか「来てくださるお客様に、とにかく一つ一つ丁寧にトレーニングを提供していこう」といった建設的な目標を立てることができるのです。 日々の一喜一憂は大事ですが、同時に、冷静な問題解決ができるようになると、その一つ一つが自分の自信にもつながります。「あなたはなぜトレーナーをしているのですか?」 前回、みなさんにこの質問をしました。この答えを考えることは、「自分のやる気の源泉」を知るうえで、とても大事なことです。そもそも、日々の仕事では、楽しいことばかりではなく、面倒なこと、嫌なことも沢山あるわけで…。自分自身が疲れてしまった時に、「思い出すことのできる原点」を持っていることは大事です。 フィットネス指導者を目指す方から、よくこんなご相談をいただきます。「どういう種類のやる気を持っていることが一番いいんでしょうか?」「やる気」には大きく分けて二種類あります。「お金のため」、「お客様に喜んでいただくため」といった「外発的モチベーション」と、「自己向上のため」「自分の学びのため」といった「内発的モチベーション」の二つです。どちらかだけを持っている方もいれば、どちらも持っている方もおられるでしょう。 どちらが良い悪いはありませんが、しかし、特に不況のご時世で、あらゆる困ったことに遭遇した時に、冷静に建設的な判断ができる自分でいるためには、「内発的モチベーション」を意識して持っておくことが重要です。国立鹿屋体育大学客員教授(スポーツ心理)/日本ピラティス指導者協会(JAPICA)理事/ソウル五輪シンクロ銅メダリスト日米仏の代表コーチ、米国大学院留学後、現在はメンタルトレーナーの仕事だけでなく、ピラティススタジオDMJボディバランシングを持つ。JAPICAプログラムのコーチング、コミュニケーション開発。http://www.pilates.co.jp/japica/Profi le田中ウルヴェ京人に浸透しているように思えます。 私は学生のころ、造形・色彩・ファッションについて学ぶ機会や、社会人になってから広告業に携わることがあったので、流行は消費者が選ぶのではなく、あらかじめ作り出されている場合があることを目にしたことがあります。 私たちが提供する運動指導にも同じことが言えるかもしれません。 書籍を読みながら、誰かの真似ではなく、自分で考える。自分で体験し感じることが大切なのでは?という所に共感しました。 自分のもとに来てくださるお客様に喜んでいただけるよう、目の前の人の声を聴き、自分の頭で考え仮説を作り検証し、再構築のサイクルを繰り返し、精度をあげていくことが大切なのだと言うことをこの経営学で再確認しました。 あなたは、目の前の人の声を聴いていますか?自分の頭で考えていますか?体験していますか?感じていますか? この本が読みたい!そんな意欲に駆り立てたのは、ヤマト運輸が、東日本大震災後すぐに被災地の水産業・農業の再生と生活基盤の復興に向け「宅急便1個につき10円を寄付する」という活動を始めたことや、震災後に社員が自分の判断で救援物資を輸送する姿が某番組に報道されていたのを目にしたこと。 また、関西はこの夏豪雨や水害が多かったのですが、雨の日に、水たまりを1つ1つ徐行しながら運転する集配車を見て感動したこと。 どうしたら、従業員1人1人がこの様な素敵な行動がとれるのか?そんな素晴らしい経営者の学問に触れたかったからです。 読んでみたら、すでに古典の1つにしてもいいのではないかという経営に対する考え方が数珠のように記載されていました。 中でも、印象に残ったのは「自分の頭で考えず、他人の真似をするのが、経営者として一番危険」という考え方。 小倉さんは、昭和40年代までは「絶対に成り立たない」と言われていた小口宅急便をビジネスとして成り立たせたのですが、それは、自分の頭で考え、仮説を作り検証し、再構築のサイクルを繰り返し、精度をあげていったから。だからこそ、みんなが「無理」といったビジネスが実現できたのでしょう。 自分で考えるという力が、今でも従業員1人1広告業界からフィットネス界に転身。関西在住、フリーインストラクター。指導者の勉強会「志楽塾」、サークル活動「健康サポートプロジェクト」活動中。ブログ:http://mimi320.weblogs.jp/blog/HP:http://kenko-support.net/Profile坂田純子Junko Sakataby Junko Sakata「小倉昌男 経営学」 日経BP社 1400円第27回 クロネコヤマトの生みの親から学ぶ「誰かの真似ではなく、 自分で考える経営」トレーナー・インストラクターのための自分の「やる気」を調整していこうスポーツ心理学第2回

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です