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のである。自身も選手として活動していたこともあり、トレーニングについて学ぶよりもケアをすることの必要性を感じていたのだ。「選手として活動していたときに、追いこんで練習をすればするほど怪我をしやすくなる....

のである。自身も選手として活動していたこともあり、トレーニングについて学ぶよりもケアをすることの必要性を感じていたのだ。「選手として活動していたときに、追いこんで練習をすればするほど怪我をしやすくなることに悩んでいました。そこで、格闘技に特化させて専門知識を活かしたケアをしたいと考えるようになったのです。いつかは独立開業したいという思いでいました」そして、所属していた道場を移籍することを機に、独立して自身の施設「イシイカイロプラクティックオフィス」をつくることにした。1999年、27歳のときである。しかし、それまで選手だった石井さんについているお客さまはいない。道場の選手たちには格安で施術を提供していたため、大きな収入源にはならなかった。独立と同じころ結婚した石井さんは、生活のために深夜トラック運転手をすることにした。「トラック運転手のほうが収入が安定しており、最初のうちは家計を支えていました。睡眠はお客さまの予約がない時間にとっていましたね。不安なことはありましたが、辞めようと考えたことはありません。私は就職したことがないので、雇われて働くという概念がまったくなかったのです」この二重生活は、第二子が産まれる2003年まで続いた。ある程度お客さまが増え、収入も安定してきたところでカイロプラクティックの施設経営に専念することにしたのである。徐々に施設経営が軌道に乗ってきた石井さんの転機は、2006年に訪れた。日本で加圧トレーニングを流行らせた第一人者ともいえる、お笑いコンビの浅草キッド・水道橋博士から「東京マラソンを完走できるよう、加圧トレーニングをしてほしい」と頼まれたのである。「すでにパーソナルトレーナーとしての仕事はしていましたが、加圧トレーニングの資格を取ることは考えていませんでした。もともと友人だった水道橋博士から頼まれたことで資格を取り、彼のトレーニング指導を行いました。このときのことを著した書籍『筋肉バカの壁』により、芸能人や著名人に加圧トレーニングが広まっていったのです」それ以降、順調にお客さまが増えていった。増えてきたお客さまに対応するために、一緒に働くトレーナーを雇ったが、いざというときに自身で補える範囲でしかトレーニングの予約を受けなかった。同トレーナーは選手としても活動しており、もしものことがあったときにお客さまに迷惑をかけないためである。それは同時に「イシイカイロプラクティックがいい」といって来てくれるお客さまの信頼を失わないためでもあった。とりわけ経営の勉強を行ってきたことはないが、本能的にリスク回避をしていたのだ。その後さらにお客さまが増えてニーズを感じたため、2007年には規模の大きい施設に移転し、スタッフ数も増やした。お客さまが増えたこと、石井さんと一緒に働きたいと希望するトレーナーが集まったことで、徐々にほかのトレーナーに仕事を任せるようにしていった。そして、彼らに「結果を出すこと」の重要さを徹底して伝えていった。その結果、「加圧トレーニングを受けてみたい」と体験に来たお客さまの8割以上がリピーターとなっている。石井さんは、今でも「新しいお客さまが、スタッフの指導によってリピーターになってくれることが一番嬉しい」と話す。現在、同スタジオではトレイルランナーにとって最大のレースである「Ultra Trail Mt. Fuji」に向けたトレーニングを提供している。SNSで情報発信してくれる人を対象にお客さまを募集したところ、石井さんの予想をはるかに上回り約40名から応募があった。これは、知人と話していて偶然思いついたものであるが、人と話していて浮かんだアイデアを実現していく力こそが、石井さんの強みである。「話を聞いて考えてみると、都内在住のトレイルランナーのトレーニング場所が非常に限られていることに気付きました。ここでは、トレイルランニングで山を走るのに必要なのと同じぐらい負荷をかけたトレーニングを提供できます。施設に託児所を付帯することも、話を聞いているうちにそのビジネスの可能性に気付きました。今何が求められていているかを考えていれば、話の中のふとしたヒントがビジネスのアイデアにつながります。そのなかで自分たちにできるものを選んでかたちにしているのです」こうして順調に売り上げを伸ばしている今でも、石井さんは「明日はどうなるかわからないと思っている」という。「いい情報も悪い情報も簡単に広まる時代です。スタッフ一人ひとりの意識が低下すればすぐに状況は変わってしまうでしょう。そうならないようにスタッフのモチベーションを高めていくことが、私の一番大事な仕事だと思います。私の姿勢を見て、なぜお客さまがついてきてくれているかなど学びとってほしいと思っています。それは一方的に教えるよりも大切なことだと思うのです」このような考えから、スタッフの研修には力を入れ、手本を見せるために、自身が一番忙しく働き、雑用も率先して行っている。今後は、parkを多店舗展開していくことも視野に入れている。ランナーが増え、皇居周辺が飽和している今、皇居以外の公園の近くに施設をつくることでニーズに応えたいというのが石井さんの思いだ。「まわりの人に恵まれてきた」と話す石井さんは、今後も人との話の中にアイデアを見つけて、新たなサービスや商品を創造していくことだろう。「Ultra Trail Mt. Fuji」に向け、加圧ベルトを巻いてランニングマシンでトレーニング03加圧トレーニング提供を機に、施設規模が拡大04新たなニーズをくみ取りアイデアをかたちに加圧トレーニング&ランニングステーションPark東京都世田谷区駒沢1-13-12駒沢タカシビル2F03-6450-8993Gym所在地東京都世田谷区駒沢1-13-12駒沢タカシビル2FTel 03-6450-8993webサイトhttp://park-komazawa.com/設立1999年5月資本金1000万円組織8名収支構造【売上】トレーニング指導料、施設使用料(ランニングステーション)【経費】人件費、家賃March,2012 www.fitnessjob.jp31Organization Data石井道場株式会社