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米国ピラティストレーナーからの提言さらに多くの人にピラティスでパフォーマンスを高めて貰うためにインストラクターができることアナ・カバンさん ピラティスがハリウッドやニューヨークのセレブのエクササイズとして米国で注目を集め始めた頃、マイアミという離れた立地にスタジオをオープンしました。そのスタジオにマットピラティスを受けに来てくださっていたメンバーの1人が雑誌編集の関係者で、ピラティスに関する取材を受けたことをきっかけに、雑誌やDVDなどの出演者として声をかけていただくことが増えました。 ただ、これは私自身も少し戦略的に働きかけた結果でもあります。当初は、自身のプロフィールを紹介する場面で、わざと自分のプロフィールに、TIME誌やVOGUE誌のピラティスに関する記事を添えたパッケージを用意して、色々なメディアにアプローチしたのです。最初はそうした「ピラティス」の話題性で取材をして貰う機会が多かったのですが、次第に取材の実績が出来てからは自分の「アナ・カバン」の名前で自分をマーケティングしていくことが可能になりました。そこまで来れば、自分の名前での影響力が持てるようになり、DVDなどを通じてより広い方々に向けてピラティスを発信することができるようになります。日本でも、ピラティスインストラクターの方々が、上手くメディアを活用して自身を売り、そのうえでピラティスを紹介していくという順序も効果的だと感じます。ゾーイ・トラップさん 米国では「ピラティス」というキーワード自体が、セレブのエクササイズとして注目されて以来、広く一般生活者にも浸透しました。その後、ピラティスの要素を採り入れたプログラムが「フュージョン」プログラムとして多種多様に開発されて多くの方々のエクササイズに採り入れられるようになったという経緯があります。 このフュージョンプログラムも、進化してきています。以前はフュージョンプログラムといった場合、複数のエクササイズをそのままミックスする内容が多くありました。例えば、ヨガとピラティスのフュージョンプログラムは、ヨガのポーズとピラティスのポーズを組み合わせていくようなイメージです。ピラティスは本来生まれた時の状態に戻って適切な姿勢や動き方を習得し直すエクササイズなので、寝た姿勢でのエクササイズが多く、フュージョンプログラムでもマットピラティスの動きなどが組み合わされていました。 ですが、最近のフュージョンプログラムに見られるのは、他の動きにピラティスの考え方を融合していく方法です。例えば格闘技の動きや自重を利用したファンクショナルトレーニングの動きで、ピラティスの身体の使い方や意識の方法を伝えていくということです。この場合、立位の様々な動きの中でピラティスエクササイズを行うことになり、より多くの方々が興味を持って参加してくださることになります。 様々なエクササイズに、ピラティスの「動き」ではなく「コンセプト」を融合させていくことで、「ピラティス」という言葉を出さないまでも価値を伝えることが可能になります。もちろん指導者はピラティスのコンセプトと身体の動かし方、意識の持たせ方を理解していなければなりませんので、相応のお金とエネルギーをかけてピラティスを学ぶことが必要です。ケビン ボーウェンさん 米国のフィットネスクラブでは、ピラティスはパーソナルトレーニングと並んで、高い付帯収入を上げるエクササイズとして注目され、広く提供されてきました。ここに至るまでには、フィットネスクラブ運営企業が相応に環境を整え、指導者を育成してきました。特にピラティスで高い収益を上げているライフタイムフィットネスやイクイノックスは、成長しているチェーン企業でもあり、ピラティスディレクターが全店のピラティススタジオの運営管理と指導者の育成を行なっています。それぞれ自社で養成コースを実施し、インターンとして研修できる環境も整っていますので、いい指導者がどんどん輩出されて、それがさらなる売り上げや利益を作ることに繋がっています。 米国でも最近は、バレエのバーを利用したレッスンがブームで若い女性はそのエクササイズに飛びついていますし、ブートキャンプから始まったファンクショナルトレーニング系のエクササイズも人気が高く、以前ブームで多くの人がピラティスに参加した時期から見ると、その目新しさや話題性でピラティスを始める人は少なくなってきています。そのため、フィットネスクラブでも「ディスカバーピラティス」といった、改めてピラティスの価値を伝えるような2週間プログラムのパッケージを提供するなど、新たなマーケティングが必要になってきています。 ピラティスは身体の仕組みを勉強している人には、その良さは必ず分かって貰える価値の高いエクササイズですが、価値の高いエクササイズだからといって、そのまま商品として売ることや、多くの人にエクササイズに採り入れて貰えるとは限りません。インストラクターとして、ピラティスを追求することももちろん大切ですが、その良さを広く多くの方々に知っていただくためにも、ビジネスとして商品として、ピラティスを考えることも同じくらい重要だと思います。インストラクターとして、どのようにメンバーやクライアントに提供すると興味を持って貰えるのか。メンバーが入会した時に無料セッションを提供することも一案ですし、上記のように短期間のパッケージや体験レッスンを提供することなども有効でしょう。日本でも高い指導力を持ったピラティスインストラクターがたくさんいる今、その魅力や価値をもっともっと伝えていく努力も必要だと思います。Ana CabanZoey TrapKevin Bowen20June,2012 www.fitnessjob.jp

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