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ウルトラランナーのパフォーマンスを上げるピラティス米国でピラティスが注目され始めていた時に、その人気の理由を知ろうと30時間まずはやってみようと思ったことがきっかけとなった。30時間を終える頃には身体の確実な変化を感じ、興味を持つようになる。その効果の高さの要因や、どのようにフィットネスシーンに採り入れられるかを追求するうちに、マットからリフォーマーまで全ての認定を取得。その後、ピークピラティスに出会い、その指導法の理解しやすさから、日本でピラティスインストラクターが育成できるインターナショナルトレーナーの資格を取得。指導者を育成する傍ら、チームで行うピラティスパフォーマンス(デモンストレーション)を提案するなど、一般生活者のピラティスへのモチベーションアップを図る活動も始めている。雪上トレーニングも練習量不足もピラティスで解決 ピラティスインストラクターとして数多くのアスリートやパフォーマーをクライアントに持つ高田香代子さん。そのクライアントの一人、高野真理子さんは、昨年開催された第一回24時間インドアウルトラマラソン大会で、唯一ランニングマシンで24時間走り切った人物。また、北極マラソンをはじめ世界7大陸を走破し、現在は北海道縦断レースに向けてトレーニングを積んでいる。だが、平日は会社員として忙しく働いているという素顔を持つ異色のランナーだ。 高野さんがピラティスを自身のパフォーマンスに活かした印象的な例が、雪上レースのためのトレーニングである。世界から集まる選手たちは、雪の上で走るトレーニングを積んで来るが、高野さんは、雪上練習はもとより、トレーニングのために走る時間さえ思うように確保できない環境にいる。それでも無事完走出来たのは、ピラティスのおかげだと話す。高田さんはそれについてこう解説する。 「ピラティスをトレーニングに採り入れることで、身体の軸ができ、地面の安定性が悪い中でも身体を安定させて効果的に走れるようになります。無駄なエネルギーを使わない分、長距離のレースほど、その違いは顕著に出るんです。高野さんの場合、『走る』という動作が中心ですので、ピラティスのエクササイズもチェアを利用した立位の姿勢で軸を意識しやすいものを選んで提供しています」 その効果の高さに、自身でもピラティスの資格を取得したという高野さん。走るトレーニングとピラティスを組み合わせることで、トレーニング自体の効率化も図っているようだ。100km走った後でもピラティス ピラティスはまた、パフォーマンス維持の面でも優れたエクササイズが豊富にあると高田さんは話す。高野さんも、過酷なレースを終えて歩けない状態になりながら、スタジオに足を運ぶ。そんな時のピラティスは、身体の機能を取り戻すエクササイズが中心になる。 「長時間同じ身体の動きを続けた後は、同じ筋肉が収縮を繰り返していますので、重力やピラティスのスプリングの力を借りて、その緊張をリリースするとともに、関節可動域を取り戻すエクササイズを行います。最近『アクティブレスト』という考え方も浸透してきていますが、痛みや疲れがある状態では、身体を動かさないで休めるより、適度に動かすことで回復を早めることができるのです。ピラティスはもともとリハビリに用いられたエクササイズですので、怪我や故障中でもできるエクササイズは数多くあります。疲労からの早い復帰や、怪我や故障を繰り返さないことも、高いパフォーマンスを発揮し続けるうえではとても重要なことなのです」分からなくてもまず10回続けてみる 高田さんは、ピラティスアライアンスでのプライベート中心のセッションに加え、プログラムディレクターを務めるアスリエでは、グループエクササCASE 01イズとしてピラティスを提供し続けてきている。そうした豊富な経験を踏まえて、これからピラティスでパフォーマンスを高めたいという人には、週2回はピラティスを行うことを勧めている。 「科学的なデータはないのですが、週1回以下では効果を実感できるまで時間がかかるケースが多いように感じます。ですので、確実に効果を感じて、ピラティスを続けていただけるように、当初は週2回以上の頻度で10回続けてみることをお勧めしています。ジョセフピラティスは『10回やれば違いを感じ、20回やれば違いが目に見え、30回やればまったく別の身体に生まれ変わるでしょう』という言葉を残しています。私自身も最初1回やっただけでは、その良さが分かりませんでしたが、まずは30時間受けてみようと取り組んだことで、身体が変わることが実感できました。ピラティスは神経系にもアプローチするエクササイズですので、最初は特に頻度を高めに繰り返し行うほうが違いを生み出しやすいのです」 将来は高齢者や子どもたちにピラティスを伝えていきたいと話す高田さん。インストラクターやトレーナーにも、自身の身体づくりやケガの予防、パフォーマンスアップのためにピラティスを採り入れることを勧めている。PILATESStory高田香代子さんとピラティス10June,2012 www.fitnessjob.jp

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