『月刊NEXT』 No.46
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innervation):拮抗筋同士がお互いの筋活動を抑制し合う仕組みのこと。主働筋が収縮する際、拮抗筋は弛緩する。▶留意点●アーチバック腹部の筋肉を緊張させ、腰が過度に反らないように気をつける。●対称性(シンメトリー)手を組むストレッチでは一方の指だけが上になりがちなので、組み替えて左右均等に行う。BiologicalStretchバイオロジカル ストレッチS.Dream有限会社代表、NESTA JAPAN理事、太田情報専門学校講師。「Drive your HEART&BODY」をテーマにパーソナルトレーナー、チームコーチ、クラブスーパーバイザー、メーカーコンサルタント活動中。雑誌、DVD、TVCM出演多数。Profi le 木内周史 みなさん、こんにちは!いよいよ2011年が始まりますね。時間の経つのは本当にあっという間。今年も着実に力をつけられるよう頑張りましょう。 さて、今回は通称、「胸(大胸筋)のストレッチ」と表現される「スキャプュラアダクション」です。 このストレッチをインストラクションする際に最も一般的なフレーズとしては「次は胸の筋肉のストレッチのストレッチです」、「胸を開くようにして行います」、「大胸筋が伸びているのを意識しましょう」などと言われることが多いようです。「胸」というキーワードに対して、中枢神経からの刺激で運動神経(motor neuron)により大胸筋は収縮します。そのことにより確実にストレッチ感だけは得られますが、効果的な筋伸張ではなく、むしろ正反対の現象です。車で言ったら、アクセルを踏みながらブレーキを踏んでいる状態です。 指導をしている対象がアスリートでも、高齢者でも、1番大切なのは「伸びている部位を知らせること」ではなく、「伸ばしたい筋肉を伸ばすこと」なのです。伸ばしたい筋肉の名前やその部位を闇雲に連呼することは、中枢神経系から末梢神経系への刺激を促し、ストレッチしたい筋の収縮を亢進します。このことは、ストレッチしている筋肉を意識させることを否定するだけでなく、マイナスの効果があることを意味しています。実際にインストラクションをする時は、「お尻の後ろで手を組み、肩を引きながら肩甲骨をグ~ッと近づけていきましょう」といった感じでしょうか。もちろん対象によって言い回しは変化しますので、効果的なフレーズを工夫してみて下さい。▶手順●クラスプハンズ(手組み)お尻の後ろで手を組む。●スキャプュラアブダクション(肩甲骨内転)菱形筋を意識し肩甲骨を内転させながら、肩関節を充分に伸展させる。▶ポイント●相反性2重神経支配菱形筋に力を入れることにより、大胸筋の伸展を促す。※相反性2重神経支配(reciprocal double vol.4スキャプュラ アダクションパーソナルトレーナーの 感性・感覚・感受性脳のシステムとしては、前頭葉にある情動系と呼ばれる反応で、意欲や感情と大きく関係が深いと言われる。言葉のごとく、喜び、怒り、哀しみ、楽しみの表現が豊かなほうが、相手の心に響くはず。この情動によって表面だけの言葉の表現も、伝わるというもの。もしかすると、最近は無表情、無感動の方が多いかもしれない。スポーツの世界では、相手に感情を悟られないような鉄火面も必要な場面もあるか、パーソナルではいかに心と心を結びつけるか、シンクロ(同調)させるかがとても重要である。是非、人である長所を最大限活用してもらいたいと思う。フィットネス・健康産業にパーソナルトレーナーシステムが徐々に導入され始めて10年が過ぎた。パーソナルトレーナー養成に携わっていると、パーソナルトレーナーを目指す方々のキャラクターが10年前から現在に至る間に変化してきたことに気づく。大きく違うのは、人間臭さというか。パーソナルは、時に機械的マニュアル的なサービス方法も必要だが、それ以上に人間臭さが必要だと思う。身体の不調を訴えて、パーソナルを受けるお客様もいるだろうが、そういう方ほど必要不可欠である。ライフコーディネーターという意味でも、運動の効果を引き出すためには、継続的なお付き合いが必要であることから、型にはまった対応能力と、多少型破れな対応能力の両面が大事。これはお客様の自分の身体への意識改革、運動に対するモチベーションを上げるうえでも有効だ。通常身体に対する痛みや、障害、不調については、おそらく“症状即異常―無症状即健康”という思い込みがあるのだと思う。痛みや体調不良がなければ、問題がないと思い込んでいる。逆に症状が出てから慌ててしまう。状態が良いときほど、予防の準備をしなければならない。普段から自分の身体のバランスや状態を知っておくことの重要性、自分の意識と自分の身体の感覚が常に一体となるよう心がけることをお伝えしなければならないと思う。自分の身体へのアンテナ(気づき)が高いと、症状の大部分が身体の訴え、教えであることが見え、慌てなくなる。そうなると、自分の身体の反応に感謝の心が芽生えてくるように思う。自分の身体の反応を障害が生じた時だけ意識するから、身体が不満の対象になってしまうのではないだろうか。このような意識改革と身体にアプローチする運動指導の両面の効果を引き出すために、パーソナルトレーナーの人間性がキーワードとなりそうだ。人間臭さと表現したが、一例として捉えるならば、「喜怒哀楽」が必要であろう。第9回アスリート選手のストレングス・フィットネスクラブのチーフマネジャーを経て、現在、株式会社プロジェクト・オン代表取締役、NPO法人日本ホリスティックコンディショニング協会副理事長。指導者の育成をしながら、自身もホリスティックコンディショナーとして活躍。岩間徹Profi leJanuary,2011 www.fitnessjob.jp35

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