『月刊NEXT』 No.45
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16December,2010 www.fitnessjob.jp地方自治体が求める指導者は健康を「支援」できる能力を持っている永岡裕昭さん財団法人 健康・体力づくり事業財団指導者養成部長HIROAKI NAGAOKA葛西 ゆかりさん東京都福祉保健局保健政策部健康づくり担当課長YUKARI KASAI東京都が中小企業の事業主向けに配布したパンフレットとカードサイズのアドバイス表「行政・保健所等」での健康運動指導士の活躍が今後期待される(健康・体力づくり財団資料より)動を行っている。地域の新聞や地方自治体のホームページで情報収集を 地方自治体ごとに、「高血圧を減らす」、「乳がん検診の受診推奨」などそれぞれ計画があり、独自に健康教室やイベントを行っているが、教室を開きたいが誰に頼んだらいいか分からないという課題もある。現状は、地域のイベントで保健師が知り合いのインストラクターに講師をお願いするなど、人脈に左右されることが多いという。地方自治体が行う健康教室で講師を公募することはめったにないが、活動が新聞に取り上げられたり、HPでイベント情報の告知を見つけるなど、一般のインストラクター・トレーナーが情報を探し出すことはできる。「市区町村などのイベント等でニーズはあると思います。インストラクターの方には、そうした場面でぜひ運動指導のスキルを活かして活躍してほしいですね」(葛西さん) 今後の行政の方針について健康体力づくり事業財団の永岡裕昭さんは次のように語る。「対象とする方は、『運動ができる人』ではなく『運動が必要な人』。指導者の資質は、スポーツインストラクター型ではなく健康コンシェルジュ型へ変わってきています。それに伴い健康運動指導士の資格取得者も年々増えています。運動を指導するだけでなく、その人の健康を支援するという考えが求められているのです」 健康づくりは行政だけでやるものではなく、地域の自主的なグループや関連団体などとの連携・協力が欠かせない。最終的には個人が自分の健康のために自主的に運動や食事をするようになるのが理想。そんな社会づくりに、インストラクター・トレーナーとしてできることは多い。これから紹介する5つの地方自治体の取り組みを参考に、社会貢献への一歩を踏み出そう。 1978年に行政が取り組み始めた「国民健康づくり対策」は、現在第3期目に入っている。 病気の人を見つけて早く治療すること(二次予防)を目的とした、健診センターなどの基盤整備からスタートした同取り組みは、2000年の「第3次国民健康づくり対策」である健康日本21と、02年の健康増進法を経て、多くの健康関連法案の成立へと繋がっている。 そうした法律のもと、全国の地方自治体が独自で健康づくりの計画を立てて活動を行っている。東京都では、「東京都健康推進プラン21新後期5か年計画」と称して、糖尿病・メタボリックシンドロームの予防、がんの予防、こころの健康づくりの3課題に重点を置いて取り組んでいる。「地域住民の健康づくりは、行政では、区市町村が主として独自に取り組んでおり、東京都は、健康づくりに関する情報の啓蒙・広報活動がメインですね」(東京都・葛西ゆかりさん) 葛西さんが語るように、東京都では、メタボリックシンドローム予防対策として、都民に向けてのパンフレット・リーフレットなどの配布はもちろん、中小企業の事業主に対して職場で取り組める健康づくり事例を紹介する冊子を作って配るなど、運動が必要だけれど日常生活でなかなか運動をすることができない層に向けた啓発活 行政が取り組む「健康づくり」健康運動指導士の活躍の場フィットネスで社会貢献するために知っておきたい診療所、病院等2587人アスレチッククラブ、フィットネスクラブ等3209人その他(学生を含む)3442人行政・保健所等1774人介護老人保健・福祉施設等731人健保組合・会社(健康管理部門)225人フリーで活動等1614人学校899人お話を伺った方

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