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2015.08.01 土

運動効果を得るために“食事”と“栄養”が重要なワケ

栄養・食事
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「時間医学」の進歩と食事学

管理栄養士、産業栄養指導者をはじめ栄養関連の資格と臨床経験を持ち、健康運動指導士、ヘルスケアトレーナー、そして自身現役ランナーとして、実業団から一般ランナーを中心に食事指導をしてきている小島美和子さん。

その指導には実績と定評があり、そのガイドラインに沿って食事指導ができる「食コンディショニングトレーナー」もティップネスをはじめとしたフィットネスクラブやトレーニングシーンで活躍し始めている。その小島さんが指導の基盤に置いているのが、体内時計や生体リズムに関する研究「時間医学」に基づいた食事学。小島さんは、その基本理論をこう説明する。

「体内時計は本来24・5時間周期で、外界の24時間リズムに上手く合わせていくことが健康を維持するうえでまずとても重要です。身体には、『脳の主時計』と『腹時計』があり、脳の主時計は朝の光でリセットされ、腹時計は朝ごはんでリセットされるので、この2つを朝起きて1時間以内に行うことで最高のリセット効果が得られます。これにより体調良く1日が過ごせます。1日の周期の中で、栄養素の吸収や消化、合成が活性化する時間帯も解明されてきていますので、それに合わせて食事と運動を組み合わせることで、身体づくりが効果的に行えます。また、人間の身体は起きてから15時間後には眠くなるようにできていますので、その時間帯に寝る体制を作っておくことで、質のいい睡眠も得られます。
「生体リズムに合わせることで、健康づくりの3要素と言われる『運動』『栄養』『休養』の質を高められる理論なんです」
この時間医学は、1997年に時計遺伝子という人間の周期的な生体反応をつくる遺伝子が発見されたことで、特に医療の世界で研究が進んでいる。呼吸機能や血圧、体温の日内変動、消化吸収力が高まる時間帯などが解明されてきたことで、疾病別に薬の効能に合わせて飲むタイミングを選んだり、肥満や睡眠障害などの治療にも活用されるようになってきている。
この時間医学の知見を、トレーニング効果を最大化させて、健康づくりやパフォーマンス向上に活用しようとまとめたのが、小島さんが啓発する食事学である。

食事を整えるステップを知ることで、情報が整理できる

小島さんは、まず食事を整えるステップを再確認することを勧める。

運動×栄養①

図1の「食事を整えるステップ」ピラミッドのように、土台から順番に整えることが重要だ。土台があるからこそ、その上のレベルの調整が効果を出す。逆にピラミッドの上部のレベルをいくら整えても、土台がないと効果は限定的となる。また、このピラミッドを知っておき、どこのレベルの話をしているかを認識することで、クライアントやメンバーの迷いや悩みにも的確に応えられることになる。
「フィットネスシーンでは、身体づくりを目的にしている人が多いことから、減量したい人は低炭水化物ダイエット、食べる順番ダイエットなど、食事の内容や食べ方に関する情報に反応し、筋肉をつけたい人はプロテインやサプリメントといった栄養素に反応しがちです、日々溢れる情報に、自分にとって本当は何がいいのか分からなくなってしまう人も少なくありません。また、情報に流されるように食事を変え、トレーニングを工夫しながら続けている人も多いです。世の中で話題になるダイエット法や食事・栄養の摂り方は、人によって効果が出るから話題にもなるのですが、その効果の前提を確認する必要があります。その前提となるのが食事の時間とリズムです。ここを整えてから各種のダイエットや栄養素をアレンジし、トレーニングを組み合わせていくことで、効果を最大化することができるのです」

運動×栄養②

食事のピラミッドの中でも、見逃されがちでありながら最も基盤となるのが「食事レベル」の改善である。
食事をとる時間、回数、配分、食べ方などで、これらを時間医学の知見に沿って見直すだけで身体を変えられるという。
たとえば一般の生活者によくある食事レベルのパターンとして、「朝食抜き」「遅い夕食」「飲み会や晩酌」などがある。図2が時間医学に基づき解明されている人の1日の生体リズムであり、同じ分量の食事で栄養を摂取したとしても、生体リズムに合わせるだけで身体効果的に消化や代謝を行うことで身体が変えられることになる。

図3ではよくある食事パターンの改善例とその効果を示している。

運動×栄養③

子供~アスリートまで時間医学に基づいた食事とトレーニングを

この食事の考え方は、強い身体をより効果的に作りたいアスリートや子どもにも活用できる。特にアスリートが基本的な体力づくりを中心に行うオフシーズンや、育ち盛りの子どもは、時間医学に基づいた食事とトレーニングを行うことで、オンシーズンや大事な時の最終的な食事や栄養の調整効果をも最大化させることができる。また、高齢者にとっても、栄養素を確実に身体が吸収する生活リズムをつくることで、食が細くなりがちな中でも健康な身体を維持できることになる。
小島さんはこうした生活リズムに合わせた食事の考え方は、栄養士にも十分普及しているとは言えない状況であることから、フィットネスやトレーニングの指導者にも、その啓発や指導を期待したいと話している。
「食事もトレーニングも、それぞれの理論に基づいた効果的なメニューを考えることに目がいきがちですが、重要なのは、それが本当に身体を変えることに繋がっているのかどうかです。せっかく食事やトレーニングを良い内容にするならば、それを人間の身体の消化・吸収・代謝のメカニズムに合わせて行うことで、より確実な成果に繋げることができ、フィットネスやトレーニングへのモチベーションも引き出せます。

実際の食事やトレーニングと、その結果身体がどう変わったかを良く見ることで、さらに一人ひとりに合った『運動』『栄養』『休養』が見つけられるはずと語った。

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