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【24 時間セルフ型ジムの現状と未来】オアシス24Plus 総合クラブをリ・ブランドすることで、新規顧客のフィットネス参加につなげる

2018.03.23 金 トレンドサービス

オアシス24Plus     株式会社東急スポーツオアシス 

株式会社東急スポーツオアシスは、総合クラブのジムエリアのみを24時間営業し「オアシス24Plus(以下、24+)」として運営している。現在35店舗のうち13店舗を24+に転換しており、今後さらに増やしていく予定だ。

店舗からの意見で24 時間営業に営業時間増だけでなくリ・ブランド

同社が24+を展開することになったのは、店舗マネージャーからの提案によるものだった。同社には年に1回、店舗マネージャーが戦略発表をする機会があり、そのときに、武蔵小杉店のスタッフから24時間運営をしたいという提案があったのだ。「総合クラブ周辺に、バジェット型クラブや24時間型ジムが出店すると集客に苦戦する可能性があります。24時間型のジムを単店として出店することも検討しましたが、安全面の確保や収益性に懸念があったことから、既存店を有効に活用できる、総合クラブの一部を24時間運営にするというかたちにしました。武蔵小杉店はちょうど1階がマシンジムだったため、試験店舗としてジムのみ24時間運営にすることにしました」このとき、単に営業時間を24時間にするだけでなく、リ・ブランドすることが必要と考え「東急スポーツオアシス」から「オアシス24Plus」にブランド変更した。

これに伴い、販促も強化し、集客につなげた。武蔵小杉店の集客が好調だったため、半年も経たずに水平展開していくことが決まった。リ・ブランドの基準は、現状の集客状況と施設構造による。「集客に苦戦している店舗はリ・ブランドすることで認知度が高まり、集客につながります。今後、できるだけ全店舗をリ・ブランドしていく予定ですが、ビルインでエレベーターが入口になっているような場合、エレベーター前に入館ゲートを設置する必要があります。システムだけでなくゲートも設置すると、かかるコストも大きくなるので、まずは低コストでできる店舗から行っています」

セルフ営業時は清掃スタッフが常駐安全・安心を担保する

特徴的なのは、同社のスタッフが不在の23 〜翌10時(セルフ営業時)は清掃スタッフが常駐すること。それまで朝行っていた清掃を、巡回も兼ねて夜間に行ってもらっている。マシンの使い方やトレーニング内容については対応していないが、心肺蘇生の研修は受けてもらい安全確保に努めている。設備や施設の更新は、入退館のセキュリティシステム、防犯カメラの設置のみ。セルフ営業時の利用禁止エリアは、防火扉がある場合は防火扉で仕切っているが、ロープパーテーションやスクリーンパーテーションを設置するだけでも問題は起こっていない。また、マシンジムが3階、フロントが2階にあるような店舗は、エレベーターが3階にのみ止まるように制御している。着替えはパーソナルトレーニングルームなどを更衣室としている店舗と、トイレの個室にボードを設置している店舗がある。また、ジムエリアは土足で利用できることにした店舗もある。

会員種別と料金設定を工夫しフルタイム会員を増やす

同社では、リ・ブランドにあたって、フルタイム会員を24時間利用可にするとともに、24+会員(セルフ営業時+通常営業時1時間)の会員種別を追加した。これにより、イブニング会員がフルタイム会員に変更したり、24+会員を機に入会したお客さまがフルタイム会員に変更したりと、客単価が向上している。「通常営業時にも1時間利用できるようにすることで、ジム以外のアイテムを利用していただく機会ができるとよいと思い、24+会員をつくりました。低価格にすることでフィットネスクラブに通うきっかけになるとよいと考えています」武蔵小杉店に関していえば、フルタイム会員12,744円、イブニング会員8,964円、24+会員6,480円と、時間的制限の少ない種別への変更をしやすい価格設定にしている。同店の24+会員は現在数百名だが、収益にはさらに寄与しているという。利用状況は想定よりセルフ営業時の利用が多く、初心者の割合も高い。また、郊外は土日の夜、都心は平日の朝と夜のニーズが高いという。

「初心者で周りの目が気になる方も、セルフ営業時は人が少ないのでフリーウエイトなどにチャレンジしてみる方も多いようです。マシンの使い方などはスマートフォンでWEBGYMを参考にしている方もいます」今後の目標については、次のように話す。「あくまでも総合クラブがメインですから、低価格の24+会員を機にフィットネス参加者を増やし、いずれはフルタイム利用者を増やすことが目標です。今後オープンする新店については、開発の時点から24時間営業しやすい動線にしていき、まだリ・ブランドしていない店舗についてもセキュリティやオーナーの同意を確保して、24+に転換していきたいと思っています」。