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【グループエクササイズ】4社による座談会-フィットネスクラブ各社の現状と課題

2017.05.24 水 トレンドサービス
座談会★

【グループエクササイズ】
総合フィットネスクラブにおいて、スタジオやジム、プールで行うグループエクササイズはお客さまの継続に寄与する重要なアイテムである。特集では、フィットネスクラブが導入しているグループエクササイズプログラムとその事例を紹介、現状と課題について整理と考察をした。

フィットネスクラブ各社の現状と課題

フィットネスクラブ各社はどのようなグループエクササイズを導入し、会員の帰属意識を高めているのだろうか。特集では、株式会社ルネサンス(以下、ルネサンス)、株式会社東急スポーツオアシス(以下、オアシス)、野村不動産ライフ&スポーツ株式会社(以下、メガロス)、株式会社シンワ・スポーツ・サービス(以下、オークスポーツクラブ)で座談会を行った。(以下、敬称略)

株式会社東急スポーツオアシス 企画推進本部 C☆S 企画グループ ゼネラルマネージャー 野村誠太郎氏

株式会社ルネサンス 事業サポート部 ソフト開発チーム 課長 石野田神氏

野村不動産ライフ& スポーツ株式会社 商品開発部 商品開発課 マネージャー 吉村卓子氏

OAKCLUB スタジオチーフ 利根川明香氏

フィットネスクラブにおけるグループプログラムの現状と課題について、4企業による座談会から見えたポイントを5つにまとめた。

Ⅰ バイク、ダンス、ヨガが人気、エアロビクスは縮小傾向

人気プログラムとして各クラブともに共通しているのはプレコリオによるサイクル系やダンス系のグループエクササイズだ。とくにサイクルプログラムは男性の会員層に向けたスタジオプログラム参加のきっかけにもなっており、男性会員の定着率向上にも寄与している。

ヨガ(ホットヨガ)の人気も健在だ。一時のヨガブーム以降、多くのクラブに導入されたヨガは、フィットネスクラブの定番アイテムとしてのポジションを築いている。昨今ではトップアスリートがコンディショニングのためにヨガをトレーニングに取り入れていることも影響し、男性の参加者も徐々に増えてきている。クラブによってはトライアル的に男性も参加できるホットヨガ、男性限定のヨガクラスを新たに設ける動きも出てきており、今後も需要は伸びていくであろう。

プールの中で行うアクアプログラムも今後、人気が出る可能性が高い。プールが付帯された総合型クラブの場合には、プールの活性化は継続的な課題である。昨今ではジム・スタジオ型のみのプールレスのクラブも増えている。その一方、プール内でのアクアプログラムの提供は顧客層の開拓および他社との差別化要因にもなるといえる。スタジオ同様に、プールにおいてもアクア系のプレコリオプログラムの拡大は、プール利用率の向上と新たな顧客体験価値を生む可能性をもっている。

こうしたプレコリオプログラムの導入が広がりをみせる一方で、エアロビクスやステップなどのオリジナルプログラムの提供本数は各社とも減少傾向にある。同プログラムはコアなファン層も多くいる一方、プログラム構成や音楽の選択、練習など、楽曲や振付が決まっているプレコリオプログラムと比較して、スタッフへの負担も大きい。このため、これまでのオリジナルプログラムからプレコリオプログラムへのレッスンメニューの入れ替えが加速しており、今後は新規出店時に初めからオリジナルプログラムを導入しない店舗も増えていくだろう。

Ⅱ ジムプログラムではHIIT系、コンディショニング系に注目

HIIT系プログラムについては若年層を中心とした会員からの人気が高く、一定層の需要が見込めるプログラムである。要因としては、短時間で高い効果のトレーニングを行うことができるため、トレーニングにおいても効率性を重視する利用者からの評価が高い。また、トレーニング終了後に感じる「達成感」「心地よい疲労感」などの情緒的な感情の高まりもプログラムが高い人気を誇る要因である。

数年前まで欧米を中心に流行していた同プログラムだが、近年では首都圏を中心にブティック型クラブとして続々と新業態の店舗が出店しており、今後も店舗数は伸びていくだろう。総合型クラブにおいてもジムスペースを活用した、サーキット形式でのスモールグループエクササイズを提供する店舗を増やしており、こうした需要の取り込みに一定の成果を収めている。

欧米では総合クラブがこうしたグループプログラムを提供する場合には高額なオプション価格を設定、販売することで付帯収入の増加に結び付けている。一方で日本の総合クラブの多くは無償によるレッスン提供が多いのが現状である。ジムスペースにおける2~3名程度での無料レッスンの実施、定期的なイベントの開催など有料レッスンへの移行に向けた効果的な施策を検討する必要があるだろう。

コンディショニング系プログラムは、スモールグループエクササイズを中心に幅広い年齢層から支持されている。ファンクショナルトレーニングブームを契機としてトレーニング前の筋膜リリース、フレックスクッションやストレッチポールを利用した柔軟性の向上、姿勢改善など、利用者の間でも「身体をメンテナンスする」という意識が浸透してきた。

こうした利用者の意識変化に合わせてクラブ側でも、コンディショニングや調整系と呼ばれるプログラムの本数を増やし対応してきている。

今後のプログラムの定着化に向けてはグループレッスンにおける一層の質の向上が求められる。プログラムのなかで参加者の姿勢、関節の可動域の動きをしっかりと観察し、適切なアセスメントを行ったうえで指導を行うことが参加者一人ひとりの満足度の向上にもつながっていくため、スタッフやインストラクターの指導スキル向上が鍵となる。

Ⅲ 音響・照明の活用による非日常感の演出

スタジオプログラムの多様化によりスタジオコンセプトもレッスンによって多種多様となり、スタジオもフィットネスクラブも非日常感としてしての価値は薄れつつある。しかし、近年になりVR、プロジェクションマッピングなどスタジオの雰囲気を非日常的な空間に演出するためのテクノロジーが登場し、ブティックスタジオ型などを中心に人気を博している。

とくにプロジェクションマッピングを活用したスタジオ演出では、映像が曲と連動していることで、パワーやリラックスの演出、スピードコントロールも可能なため、運動効果も得られやすい。スタジオでは壁面に映像を映すことで、鏡で自分の姿を見ることがなく、暗闇では映像に周りの人の視線が集中することから、初心者やグループレッスンが苦手な方でも参加しやすい環境をつくることができる。とくに若年層は効果と同時にエンタテインメント性が運動継続の鍵となってくるため、その面でもVRやプロジェクションマッピングを採り入れることは有効だである。

こうした最先端テクノロジーを活用した演出は総合型クラブにおいても、スタジオプログラムの魅力を引き上げる一因として期待される。

Ⅳ 参加者を増やすためにきめ細やかなアプローチ

お客さまにグループレッスンへ参加してもらうために、いずれのクラブも行っているのが、新規入会時のご案内、会員へのヒアリングの徹底である。近年ではお客さまからのニーズも多様化しているため、早い段階で利用者の目的理解し、達成に向けて最適な提案を行うスキルが求められる。

こうしたスキルを標準化していくためには、現場での研修にすべてを任せるのではなく、本社が主導して研修を行い、定期的な品質チェックをサポートする体制づくりも必要になってくるであろう。また、自社内での研修体制をつくる場合においても、接客・接遇、ヒアリング、課題解決などの研修に関しては、積極的に社外研修を活用していくべきだろう。

社内研修ではどうしてもこれまでのお客さまへの対応事例など自社の常識が前提となりやすい。一方で社外、業界外の研修では、これまでの常識を超えたお客さまへのアプローチ、接客を学ぶことができ、より視野が広がり、多くの気づきを得られることも多い。また、社外の人を見ることで、自分の立ち位置を把握することもでき、それによるモチベーションの向上も期待できる。

参加者のアプローチとしては、ジム内でのお客さまとのコミュニケーションも重要だ。とくに初めてフィットネスクラブに通うお客さまに対しては、日頃からコミュニケーションを図っているスタッフからの後押しで、彼ら自身がインストラクターを務めるクラスに参加することも多い。ジム内でのこうした雰囲気づくりが重要になる。

Ⅴ クラブ外でのグループレッスンの展開

グループレッスンを提供する場はクラブ内だけではない。高齢化社会における健康寿命の延伸に向け、地方自治体の健康支援事業のサポートや地域の健康づくりなど、インストラクターのスキルを活かせる場は増えている。昨今では、多くのフィットネス事業者が介護予防事業へ参入しており、これまでフィットネス事業で培ってきたグループ単位での運動プログラムの展開を行い、高齢者層の身体機能の向上を独自価値として提供している。

こうした、高齢者層を対象としたクラブ外でのグループレッスンの提供は今後も拡大していくだろう。また、企業でのストレスチェックの義務化、経済産業省が主導で始まった健康経営銘柄選定などの健康への意識の高まり、企業へのインストラクターの派遣、複数名を対象としたレッスン提供など、今後は、こうした企業向けのグループレッスンの需要も増えていくだろう。

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