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【シニアマーケティング】元氣ジム 上中里-機能改善にこだわったリハビリ特化型デイサービス施設を展開

2017.03.19 日 トレンドサービス

【シニアマーケティング】
年々、日本の高齢化は進み介護予防ビジネスが大きな広がりをみせている。これに伴い、高齢者特化型ジム、デイサービス施設、地域支援事業の受託などを行うフィットネスクラブ運営事業者も増えている。本稿では、高齢者層にフォーカスしたプレイヤーが提供するプログラムと施設を紹介する。

機能改善にこだわったリハビリ特化型デイサービス施設を展開


2006年から地域支援事業に積極的に取り組む株式会社ルネサンス(以下、ルネサンス)。理学療法士や看護師、管理栄養士など各種専門家を抱え、着実にプログラムの構築を行ってきており、2012年からはリハビリ特化型のデイサービス施設「元氣ジム」を展開している。

【今回お話しを伺った方】
株式会社ルネサンス アクティブエイジング部 部長 鈴木有加里氏

理学療法士が機能改善をサポート


要支援・要介護認定者対象にリハビリと運動に特化したデイサービス施設「元氣ジム上中里」では、ルネサンスが独自開発した脳活性化プログラム シナプソロジー®、動的ストレッチマシン、レッドコードなどを用いたグループエクササイズと、一人ひとりの状態に合ったプログラムを作成して行うパーソナルトレーニングを提供している。

要支援認定者に対しては90分間、要介護認定者の場合は3時間の提供時間である。同ジム利用者の平均年齢は78.8歳。利用者全体における要支援認定者、要介護認定者の割合は、おおよそ半々程度。会員のボリュームゾーンは70~80歳の高齢者層が中心となっている。

同施設の特徴について鈴木氏は次のように話す。「通常のデイサービスとの大きな違いは、理学療法士や看護師などが店舗に常駐しているため、医療視点でのアセスメントやマンツーマンでのリハビリメニューを提供できるところです。ほかのデイサービス施設の場合には理学療法士を配置していなかったり、いても複数店舗を兼任しているという場合もあります。元氣ジムは、正社員として施設ごとに1名の理学療法士を配置していますので、毎回のレッスンできめ細やかな機能評価を行い、個人の身体の抱える課題に合った運動指導を行うことができます。

s_IMG_2366理学療法士による指導の様子

施設では理学療法士が行った機能評価の結果を看護師、運動指導員へ共有する体制となっているため、グループ単位で運動指導を行う際にも、利用者一人ひとりに合わせた的確なアドバイスを行うことが可能です。反対に理学療法士は運動指導員が行うグループレッスン時のキューイングやモチベーションを引き上げるための声かけの方法などを学べるため、指導スキルの向上にとても良い相乗効果を生んでいます。

また、施設内ではiPadを利用して身体の仕組みを説明することで、運動効果をわかりやすくお伝えしたり、運動前後の写真や動画を撮影して、姿勢や歩き方を比べることで変化を感じてもらいやすくするなどの工夫を施しています。実際に身体の変化を自分の目で見て感じていただくことにより、運動の効果を実感していただくことができるため、継続へのモチベーションアップにつながっているというお客さまも多くいらっしゃいます。

また、見学時には、ご家族の方にも運動前後での動きを比較した動画を見ていただくようにしており、『短時間の運動でこんなに動きが変わるんですか』と驚かれる方が多くいらっしゃいます」

s_iPad①iPadでは身体の仕組み、自分の姿勢などを画像で見ることができる

日常生活に必要な筋力づくりを行う


要支援認定者には、シナプソロジー、ストレッチ、マシントレーニング、レッドコードエクササイズ、クールダウンという順番でプログラムを展開。

マシントレーニングでは、動的ストレッチや筋力トレーニングのほか、ニューステップと呼ばれる全身運動マシンも行う。「当施設に通うお客さまの多くは、日常生活の中で歩行補助のために杖を利用している方が多くいらっしゃいます。将来的には杖の支えがない状態での歩行を行っていただけるよう、身体のバランス感覚や体幹を鍛えることを目的としてレッドコードを利用しています。

同製品は床からではなく、天井から吊るされたスリングを利用してトレーニングを行うため、不安定な状態の中で姿勢を保とうとする際に、日常生活であまり使われていなかったインナーマッスルを自然に鍛えることができます。同時に、立つ、座る、モノをとるなどの日常生活の重心移動の動きづくりも行うことができます」(鈴木氏)

既存のデイサービス施設に対して抵抗感を感じていた高齢者にとっては、リハビリ特化型のデイサービスは明確な目的をもつことができるため、通いやすい。同社ではあえて送迎車や看板にも「デイサービス」とは謳わずに「ジム」という表現を選択することで、元気な方が運動を行うための場所といったイメージを醸成している。

フィットネス業界の中でも独自のサービスを提供している同ジムは、これからも介護予防市場をリードしていくであろう。

【企画・取材】
株式会社クラブビジネスジャパン
オンライン事業部フィットネスビジネス編集部:庄子 悟