FITNESS BUSINESS

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成功するマイクロジムの教育・ノウハウ -後編

2016.07.25 月 TR-キャリアビジョン

2015年12月17日にR-body project大手町店を会場に開催されたマイクロジム経営セミナー。同社代表取締役の鈴木岳氏はじめ、独自のこだわりから立ち上げたマイクロジムを成功裡に運営する3名の講師が講演を行った。3者の講演からは、マイクロジム経営に必要な「集客方法」、「ビジネスモデル」、「教育・ノウハウ」の3つの要素を深く学ぶことができる。第3回は「成功するマイクロジムの教育・ノウハウ」と題して、株式会社R-body project代表取締役 鈴木岳.氏の講演をレポートする。


優秀なトレーナー輩出を目指すアカデミーを提供

当社では、既述の人材育成事業として、トレーナーのレベルアップを目的とした「R-bodyアカデミー」を提供しています。皆さんは、トレーナーという職業で定年を迎えた方に会ったことがありますか?おそらくないでしょう。私は、今のような、トレーナーがいろいろな機関で取得した様々な資格をもつのではなく、当社のアカデミーでいわゆる“共通言語”を身に付けたトレーナーが活躍することによって、定年まで活躍できる環境を構築していきたいと考えています。 NASM(National Academy of Sports Medicine社)という、米国の資格をオンライン上で、かつ日本語で取得できるコースも提供しています。米国では、かつてはスポーツ選手を対象にしたトレーナーのみがとる資格だったのですが、今ではパーソナルトレーナーの上位の資格になっており、この資格をもっているとセッション価格も最上位のランクになります。

学ぶ人を増やすほかにも、私たちから約97%いるフィットネス未参加者に対してトレーニングの必要性をアプローチしていくことも必要です。そもそもフィットネス参加人口が10年前から約3%と変わらないのは、サービス提供側の問題です。私たちは、企業に出張してトレーニングセミナーを提供するなどの活動も行っています。

R-body projectのこだわり

当社のこだわりにはいろいろありますが、そのなかの1つに、私がいなくてもまわるような組織づくりに向けて、視座の高いメンバーを集めていることがあります。カリスマトレーナーと呼ばれる、ほんの一握りの方たちが活躍しても、世の中や業界は変わらないでしょう。1人よりもチームや組織、または企業同士が組み、大きな集団として力を発揮したほうが、世の中へも大きくアピールできるはずです。皆さんにも、ぜひ業界を大きくする活動に力を入れていただきたいと思います。それが、ゆくゆくは自分自身のためにもなるはずです。

当社を設立するときには、もちろん ビジョン・ミッションをつくりましたが、徐々に「これなら自分の会社以外でもできるのでは?」という違和感が出てきたため、約2年前に新しくつくり直しました。ビジョンは「自分らしい身体で、人生を謳歌するような人があふれている世の中をつくる」。

ミッションは、「自分らしい身体をつくるエデュケーショナルトレーニングを提供する」としました。サービスの意味をはき違えず、お客さまのアタマとカラダをきちんと教育し、鍛えてさしあげる。究極をいえば、トレーナーという職業がなくなってしまうぐらい、自分の身体を管理できる方が増えたらいいと考えています。

しかし、ビジョンやミッションは、長く企業を継続するにあたっては“点”でしかありません。つくったときは盛り上がっていても、1ヶ月後にスタッフに「言える?」と聞いたら、ほぼ覚えていないでしょう。ビジョンとミッションという“点”を継続させることで、組織文化は形成されていきます。でも、そこにはオーナーの色が大きく関係します。皆さんがオーナーとなったら、皆さんの日々の行動・言動の蓄積が文化につながっていくということを忘れないでください。

私は、経営を始めるにあたって、マーケティングやマネジメント、ファイナンスなどについて一切勉強することなく、1店舗目を始めました。ビジョンやミッションを継続して組織文化をきちんとつくり上げたのなら、集客やファイナンスなどの知識は後からでも必要に迫られて、やりながら自然と身に付いていくと考えています。

今後の課題と展望

当社では、技術に関しては、社外にも出せるものができており、実際に「R-bodyアカデミー」で提供していますが、オペレーションに関しては非常に複雑で難易度が高く、当社のメンバーでなければ現状では対応できないものになっています。それを、誰でもできるオペレーションに落とし込み、 多くの方が習得できるようにすることが、現在の課題です。私はR-body projectの店舗に執着してはいなくて、世にコンディショニングセンターがいかに早く、多くできるかについてだけを考えています。ですので、大手クラブ内や治療院内にコンディショニングルームが多くできるのもいいと思います。

コンディショニングという概念を早く広めるためにも、ぜひ何らかのかたちで皆が協力し合っていけたらと思っています。そうすれば、トレーナーの価値も高まるだろうし、健康な人々をもっと増やせると思います。 最後に1つ懸念していることをいわせていただければ、専門学校などを卒業しても、即戦力となる人材が育っていないことは、少し問題だと感じています。せっかく専門学校を経て入社してきても、もう一度教育し直さなければならないのです。即戦力となる人材の教育に、学校には力を入れていただきたいと思います。このことに関しては、ここにいる方々が集まって、自ら学校をつくってしまうというアイデアも、面白いかもしれないですね。


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オンライン事業部フィットネスビジネス編集部:庄子  悟