FITNESS BUSINESS

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【ICT×フィットネス】ICT・AI時代にトレーナーやインストラクターが身につけるべき能力とは

2016.09.20 火 テクノロジー

毎年、ヘルス&フィットネス分野のプロフェショナルがトレンドを選ぶ、ACSM(アメリカスポーツ医学会)による調査の2016年版の調査結果「Top Fitness Trends of 2016」では、 これまでとは大きな変化が見られた。これまで挙げられたことがなかった「ウェアラブル技術」がいきなりトップとなったことである。これまでの過去の日本のトレンドの軌跡を振り返ると、世界のトレンドが数年遅れてトレンドになっていることもある。そこで”ICT×フィットネス”コーナーでは国内はもちろん、海外での「ウェアラブルデバイス」、「モバイルアプリ」など、テクノロジーを駆使した新たな潮流のニュースに加え、先進事例や活用方法についても紹介していきます。
【バックナンバー】
ウェアラブルの躍進
企業での健康管理に広がるウェアラブル
海外事例① 米国のデジタルフィットネス市場とは
海外事例② テクノロジーは”脅威”か”チャンス”か?
心拍数の可視化で広がりをみせる グループトレーニング
DATA FITNESS”に学ぶデータ活用法 -前編
2025年の生活者のフィットネスライフと生き残るクラブの条件

業務の効率化だけではなく、革新的なサービスの創造という点で、ICTやAI、ロボットなどがヘルスケア・フィットネス市場において将来キーファクターになってくるものと思われるが、そうしたなかでどのように、それらを活用することが望ましいのか、それを活用することでどんな未来が描けそうかなどについて、SPORTEC2016にてビジョナリーなプレイヤーや有識者を集めて開催されたWellnessPost特別セミナーの模様をレポートする。

前半:2025年の生活者のフィットネスライフと生き残るクラブの条件

【パネリスト】
株式会社FiNC 代表取締役社長 溝口勇児氏
CLIMB Factory 株式会社 代表取締役 馬渕浩幸氏
フィットビット・ジャパン合同会社 社長 福田強史氏
株式会社アクアビット 代表取締役 田中 栄氏
【コーディネーター】
株式会社スポルツ 代表取締役 大川 耕平氏

2025年のトレーナー、インストラクター、栄養士の働き方とは?

溝口:私は優秀と呼ばれるトレーナーには以下の3つの段階があると思います。 1.インプットする能力、2.情報を引き出す能力、3.これらの情報を整理し、ソリューションを提供する能力です。 しかし、将来的にこれらの要素はAIが代行して行う可能性が高いと考えています。特に情報収集やインプットに関してはコンピューターのほうが圧倒的に優れており、人間よりもはるかに膨大なインプットが可能です。しかし、情報を引き出す力やソリューションを提供することに関しては、AIよりも人間が優れている場合もあります。「相手に対して共感を示す」「信頼関係を築く」などの人間本来のエモーショナルな部分に訴えかけることで、本人も認識していなかったニーズを引き出し、解決のためのソリューションを提供する。こうしたことが自然にできるトレーナーは今後も活躍の場があるのではないかと思います。

ただし、これも’25年の未来であれば、のはなしです。’30年ごろにはこれらの能力もAIが担う時代となります。 そうなったとき、トレーナーやインストラクターはどうすればいいのか? 正直、私自身も答えは出ていません。ですが、音楽業界のビジネスモデルの転換などの事例がヒントになるのではと考えています。音楽業界ではCDが売れなくなった時代に、ライブ(=リアルの場)での体験をサービスの中心に置き換えることで、V字回復を果たしています。フィットネスでも、このようなリアルの場での体験価値をサービスとして提供することがトレーナーやインストラクター、栄養士の価値を見出すことができるのでないかと思います。

personal-training顧客に寄り添い、エモーショナルな部分に訴えることができるトレーナーが活躍の場を広げていく

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