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【NEXT 8月特集】“キッズフィットネス”最前線 for Kids

2016.07.25 月 スキルアップ

子どもをとりまく環境が変化し、体力低下や身体機能の低下が危惧されるようになって久しい。そんな中、子どもたちが体力や身体能力を培う場としての家庭環境や遊びの場を、プログラムとして効果的につくりだそうとする動きが出てきている。今回は、子どもたちからも保護者からも広く支持を集めてきている最新のキッズプログラムを紹介する。

for Kids

おんぶdeエクササイズ
“安心感とともに、身体能力と脳が高めらる”

おんぶの良さが見直されてきている。おんぶは、日本文化の一つとして以前はよく見るシーンだったが、近年ではおんぶをしないママも多い。その要因として対面式の抱っこ紐が増え、赤ちゃんの顔が見えるほうが安心するママが多い他、おしゃれな抱っこヒモが多種多様に輸入販売されており、赤ちゃんとの移動手段に抱っこ紐を選びやすい環境が広がっていることなどがある。そんな中、産前産後のママと子どものエクササイズに詳しい大塚ひとみさんは、おんぶのメリットに注目し、より多くのママにおんぶの良さに触れてもらい、日常でも活用できるきっかけづくりとしておんぶdeエクササイズを考案した。

「おんぶの体勢では、ママの脊柱カーブと赤ちゃんの脊柱カーブが重なるので、赤ちゃんは心地がいいうえに、ママの声を身体の振動としても感じることができて、安心感が得られます。また、ママが赤ちゃんを背中に背負おうとするときに、赤ちゃんはママの背中から落ちないようにと、反射的にしがみつく力や握る力を養うことができます。さらに、ママと同じ視線で動くことで、同じ光景を見たり、ママからの問いかけを聞くことができるので、視野を広げ感性を高められるといった効果も得られます」

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おんぶdeエクササイズは、ママにとってもいいことが多くある。抱っこやおんぶをする機会が多い生後6ヶ月くらいのママは、育児も一段落して、自分も少しアクティブに動きたくなる時期。ところが、この時期は赤ちゃんも動きが活発になり、ママにとっては、やろうとしていることが中断されることもしばしば。そのストレスから産後うつに繋がるケースも少なくないという。おんぶをしてエクササイズをすることで、有酸素運動から得られる爽快感と、最後まで中断せずに物事に取り組める達成感が得られる。ママたちの気分がリフレッシュされ、前向きに育児に取り組めるようになる。

「おんぶの仕方を知らないママも多いので、スタジオでお互い手伝いながらおんぶの練習をすることで、ママ同士のコミュニケーションも生まれます。おんぶは赤ちゃんの重さがママの背中側にかかり、肩が開く状態になるので、授乳やおむつ替えなどで多くなる猫背の姿勢から解放されるとともに、背中側に傾く重心を戻そうとすることでコアユニットの調整もできます。おんぶの良さを見直していただくきっかけとして、さまざまな親子クラスにも採り入れていただけたらと思っています」

インタビュー:一般社団法人日本母子健康運動協会代表 大塚ひとみさん  
運動指導歴25年のキャリアと実績を活かし、産後 特有の運動メソッド「マミーナボディメソッド」「バギーエクササイズ」などのプログラムを考案。全国の認定インストラクターはフィットネススタジオの 他、産婦人科やベビー系施設など多方面で活躍中。

OKJ芽育キッズビート体操
“おうち感覚で、楽しく身体を動かす”

近年の子どもたちの発育上の問題として注目されていることの一つに足の指が地面に着かず浮いた状態の「浮き指」がある。都内のある小学校では、8割の子どもに「浮き指」がみられたという。その背景には、子どもが足を使わなくなったことがある。歩数の減少は文科省の資料によると小学生で1979年当時の2万7千歩から、2010年の調査では1万1千歩と、半分以下。外で遊ぶ機会が減り、さらに幼少期から部屋の中でも靴下を履く習慣が広がったことで、日常生活で足関節の動きが制限されてしまっていることが関係しているともいわれている。OKJでは品川区をはじめ自治体の施設を中心に、全国約170人のOKJインストラクターが親子やキッズの運動プログラムを提供しているが、近年自治体からの要望として「子どもの肥満解消」に続いて「浮指予防(改善)」が挙げられることも増えている。

OKJキッズビート体操は開発から18年が経つが、こうした子どもたちが抱える課題や、スクールや施設運営者からのニーズの変化にも対応しながら進化させてきている。OKJ代表で現在も週20本のレッスンを担当する上田泰子さんはこう話す。

「OKJ芽育キッズビート体操は、子どもたちが普段過ごしているおうちのような広さと環境に近い芽育スタジオで提供する新しいクラスです。親子プログラムから子どもだけのクラスに移行するステップとしてもご利用いただいています。フロアの安全性も確保し、レッスンは裸足で提供し、トランポリンを活用することで、限られた空間でも空間認識や身体の多様な使い方を経験できるようにしています。浮指対策には、さまざまな体勢や動きの中で重心を安定させたり、バランスをとることを促します。それにより、足関節が動き、関節の受容器や足底筋が活性化されて適切なポジションに近づけることができます。動物の動きやダンスなどで、四足や片足の動き、急な停止動作、方向転換動作も多く採り入れるようにしています」

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OKJプログラムでは、子どもが好むシンプルな曲を短く多数つなげて、早い場面展開で子どもの集中力を引き出していく。ストーリー性のある場面展開に引き込まれながら、少し難しい動きや、速いテンポの曲についていこうとすることで、子どもたちの身体能力が高められていく。

「子どもは親がやらせようとするより自らの意思で取り組むものの方が身についていきますね。その世界を楽しんでいるうちに必要な動きができるようになる状況をいかにつくるかが重要です。芽育スタジオは家庭の環境と近いので、家庭でもできるような再現性の高いエクササイズで構成しています。子どもたちが家庭でも思い出してやりたくなる楽しい動きをたくさん体験していくことで、日常の身体活動や、足関節の動きはもちろん、子どもに必要なあらゆる運動パターンを増やしていけることを目指しています」運動が苦手な子もトランポリンの特性が有効に働き自然に体が動き出す。幼児期に必要な全身的な動作を自由に体験できる楽しさが感じられるプログラムとなっている。

インタビュー:OKJエアロビックファミリー代表 上田泰子さん   
指導歴32年。幼児体操から指導をスタートし、お客さまからのニーズと社会環境の変化に合わせてプログラムの幅を広げてきた。子どもの成長に大きな影響を与えるママ・パパに向けたプログラムも開発してきている。

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【記事出典】
月刊NEXT 2016/November No.113 

【企画・構成】
株式会社クラブビジネスジャパン
オンライン事業部フィットネスビジネス編集部:庄子  悟