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【NEXT 11月特集】機能改善トレーニング最前線 Vol.2

2016.10.25 火 スキルアップ
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「健康寿命」という言葉が浸透し、アクティブシニアや介護予防のプログラムが進化してきている。特に高齢者の機能改善として注目されているのが、脳機能の改善と、身体機能の改善。脳と身体は連動して動くことから、ともに身体活動を伴うトレーニングプログラムとして開発されることが増えている。今回は高齢者が「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」である健康寿命を延ばすことに有効な、最先端のトレーニングプログラムを紹介する。

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SCAPLA(スキャプラ)メソッド
“パッシブケアとアクティブケアを融合させた”

SCAPLAメソッドとは?

SCAPLA(スキャプラ)は「肩甲骨」を意味する一次予防プログラム専門スタジオの名称。30分のパーソナルパッシブケア(カイロプラクティックの施術やマッサージなど受身の施術)と、30分のグループアクティブケア(アスレティックトレーニングのリハビリをコンセプトにシークェンスを組んだヨガ)を組み合わせた60分のプログラム。自宅でできる5分程度の宿題エクササイズも続けることで、偏頭痛や肩こりをはじめとした痛みや不定愁訴を改善できる。自律神経を整え、自己治癒力を高められる効果もある。

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脳外科リハビリから生まれた一次予防プログラム

SCAPLAは、病院とフィットネスクラブのハブ的存在として、パーソナルケアとグループエクササイズを提供するまったく新しいコンセプトのスタジオ。現場責任者としてプログラムを構築し、パッシブケアの施術も行う友広隆行さんは、米国でアスレティックトレーニングのリハビリテーションを学び、ドクターラインセンス取得後、米国でカイロプラクティック施設の運営を経て帰国したという経歴の持ち主。帰国後、脳外科患者のリハビリを提供する三次予防施設「トータルリハビリテーション」を設立後、横浜新都心脳神経外科病院の院長監修のもとに、SCAPLAを立ち上げた。

SCAPLAでは、友広さんの脳外科リハビリの見地を活かした一次予防プログラムを提供、頭痛がある ものの脳自体には疾患が見られない 人や、肩こり腰痛、めまいや耳鳴りなど各種の不定愁訴を持つ人々が自費診療として通っている。パッシブケアもアクティブケアも、30分の標準化したプログラムが用意されている。そのうえで個人別の身体の状態や、日々の調子に合わせて、毎回アレンジして提供される。

パッシブケアは5台用意されているストレッチチェアで、5人のスタッフがパーソナルで提供する。脊柱から肩や骨盤周り、手足へと全身の関節の動きを確認し、動きが悪くなっている部分の筋緊張を緩和し、姿勢を整える施術を行っていく。アクティブケアのヨガは、グループエクササイズとして1人のインストラクターが提供するが、体力に合わせてマットの上や椅子に座った状態などでも行えるようにインストラクターが個別性にも対応している。ヨガのシークエンスは、パッシブケアで整えた姿勢や関節の状態を維持するための筋力をつけるとともに、自律神経を調整する動きで構成されている。自律神経の中で唯一意識的にコントロールできる呼吸にも焦点を当てている。

また、日常ではドローインする習慣をつけることが適切な姿勢や動きの維持に有効なため、その練習となる5分程度でできる簡単なエクササイズの宿題が出される。友広さんは、同プログラムの開発経緯についてこう話す。「私自身、サッカーで頚椎を損傷し、米国でゴッドハンドの評価を受けるカイロプラクターの施術を受けたことがあるのですが、その時は感動するほど具合が良くなったのに、2日後には以前と同じ状態に戻ってしまったんです。人間は種の保存のために、脳が同じ状態を維持しようとするので、パッシブケアだけでは効果は限定的。エクササイズを日々行いながら、脳を少しずつ書き換えていく作業が必要なんです」

一連のプログラムは、誰でも一定の効果が得られるように標準化されており、指導者育成プログラムも6ヶ月の研修カリキュラムにまとめられている。今後SCAPLAをフランチャイズ展開して、より多くの人の健康寿命の延伸に寄与し、日本の 医療費削減に貢献することを目標に置いている。

インタビュー:株式会社トータルリハビリテーション代表取締役 友広隆行さん 

介護予防サスペンションプログラム
“日常生活動作の反復練習で自信が持てるようになる”

介護予防サスペンションプログラムとは?

サスペンションギアの機能を活かして関節可動域を広げたり、「立ち上がる」「屈む」「高いものを取る」などの日常動作を、動きの要素に分解し、サスペンションの支えを借りながら反復練習し、動きを統合していく。日常生活での動作に自信が持てることで、自分で動ける力やモチベーションを維持することを企図したプログラム。

「自分にもできる」という自信が、日常生活を変える

リタポンテは、自費参加から要介護までの高齢者を対象にプログラムを提供するデイサービス施設。TRXを用いたサスペンショントレーニングと、キネシスを利用した体幹トレーニング、各利用者の状況に合わせた自宅でのエクササイズで構成した、レジリエンス(困難な状況にも、しなやかに適応して生き延びる力)をコンセプトにしたプログラムを特徴としている。同プログラムを開発した上村理絵さんは、関西地域で高齢者向けサスペンショントレーニングを開発し、実績につなげてきた理学療法士。リタポンテでは敢えて認知機能改善のためのエクササイズは行わず、「身体への負荷が脳を活性化させる」として、毎回適切 な負荷を身体に与えることで、筋力と認知機能の向上を図る。

サスペンションが1点支持であることから、回旋動作をサポートできたり、運動力学を活用することで無意識に姿勢が整えられるなどのメリットがある。また、サスペンションの長さの範囲で動きが既定されることで、参加者が安心感を持って運動に取り組めるなど、サスペンションでエクササイズをサポートすることメリットは多いと上村さんは話す。

「高齢者への筋力トレーニングの重要性や効果は広く認識されていますが、動ける身体を維持するには、身体を動かすときの姿勢や関節の使い方を知り、バランスの取り方を含めた練習を続けることが重要です。例えば90歳以上の人でも毎日自転車に乗り続けていれば、自転車で移動することが可能です。同様に、日常生活の動作を繰り返し行うことで、日常生活の動きを維持できる。人の機能は、やらなくなったとき、考えなくなったときに衰えます。ですので、ここで練習を続けることで「自分もできる」「動ける」ということを体感していただき、動ける自信を持ち続けていただくくことを目指しています」

リタポンテは新宿区内に2店舗、中野区に1店舗あり、今後はレジリエンスをコンセプトとしたデイサービスの運営コンサルティングなどで介護予防サスペンションプログラムも広げていくことを目指している。

インタビュー:ソーシャルキャピタル株式会社 取締役事業部長 理学療法士 上村理絵さん 

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