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米国におけるストレスマネジメント事情-

2015.07.14 火 オリジナル連載

突然ですが「ストレス」という言葉を聞いてどのようなイメージを持たれますか。

一般化しすぎて特段イメージは沸かない?または「日本の社会生活において、ストレスのない日常なんて考えられない」でしょうか。「忍耐」「我慢」という言葉が美徳と分類される日本社会において「ストレス」の現状を知り、クライアント、またはご自身のストレスマネジメントを行うことは、ウェルネスレベルを向上させる大きな手助けになるのではと思います。

89%の人が日常でストレスを感じている

アメリカでは極度のストレスに曝されるミリタリーのストレス軽減という観点から、ストレスに対する研究が進んでいます。また文化的な背景からも「現状に耐える」よりも「現状を良くする」方に重きを置く人が多いと思います。日本の自殺率は、アメリカに比べ2.3倍、20〜45歳の男性、15〜35歳の女性の死因の第一位が自殺というデータもあります。私たちウェルネスに関わる人々が、ストレスの対応に真摯に向き合うことで、こういった現状の改善に繋がるのではないでしょうか。

アメリカのデータでは、89%の人が日常生活でストレスを感じていると答えており、80〜85%の疾病が、直接ストレスが影響していると言われています。人はストレスを感じると、アドレナリンやコルチゾールといったホルモンが血液中に放出され、神経はショック状態となり、免疫機能の低下をはじめ、心疾患、消化器疾患など様々な疾病を引き起こします。

ストレスをうまくマネジメントするためには

それでは「ストレス」をどのようにマネジメントすればよいのでしょうか。先ほどのミリタリー、特にネイビー(海軍)での調査によるとストレス軽減のトップ2の要素は家族、友達と話すこと、そしてフィットネス、運動をすることでした。運動の面では20分程度の有酸素運動、ヨガ、テニスなどのレクリエーション、特にオフィスを離れたアウトドアでの運動が推奨されています。それにより不安の軽減やリラックス効果が得られます。

アメリカでは企業でのフィットネスの”内製化”が進んでおり、大企業では社内に広大なフィットネス施設がある会社が多数あります。設備のみならず、各種グループエクササイズも行われており、早朝、仕事後、そして昼休憩時など体を動かしリフレシュする事が出来ます。

また、学校では常任のカウンセラーがおり、生徒の相談を受けるシステムがあります。留学生向けに各種言語を話すことができるカウンセラーが対応してくれる学校もあり、ストレスケアの体制が整っています。

ウェルネスに関わる人であれば、ストレスに対するこれらの情報は基礎知識としてご存知のことかと思います。私が今回この記事でお伝えしたいのは「ストレス」と一口に言ってもそれは非常に深さが区々であるということです。運動はストレス解消に対し非常に効果があるにもかかわらず、「ストレス」に対する深い認識、知識はまだまだ低いと思います。ストレスをコントロールする事で、QOL(クオリティオブライフ)、生活の質は格段に向上します。その重要性を訴求する事で、運動、フィットネスの必要性が更に高まると思います。

ストレスは感じるレベルや感じ方も人それぞれであるし、また解消される方法も千差万別です。私もトレーナー職を行っている時に多くのクライアントから「ストレス解消」の相談を受けた事が多々ありました。しかし運動面の知識はあっても「ストレス」自体の知識は不十分だったなと思います。

現在海外で生活する中で、実際に日本在住時には体感しなかった色々なストレスを感じその言葉の重みを知り、ストレスマネジメントの大切さを実感しました。もちろん良い影響を与えるストレスもあります。しかし、たかがストレス、されどストレス。理解を深める事でさらにクライアントへの提供メニュー、また信頼関係の向上に繋がるのではないでしょうか。

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>>>Write by Aya Okuno

奥野 亜矢

ロサンゼルス在住。自身の柔道家としてのアスリート生活の経験から、「大好きなスポーツ、フィットネスを通じて多くの人を幸せにしたい!」と志しフィットネス業界へ。
コナミスポーツ、ハイパーフィットネスにてトレーナー、グループエクササイズディレクター、そしてクラブ支配人を経験。”フィットネスの本場 アメリカ”でビジネスキルを磨き、挑戦するため渡米。高級クラブThe Sporting Clubや大学フィットネス事業部にてグループエクササイズ指導、クラブマネジメントに携わる。