FITNESS BUSINESS

facebook twitter googleplus

成功の秘訣とは? CEOジェフ氏が語る「フィットネスコネクション」の戦略 

2017.01.27 金 業界動向
fitness-connection-595

ジョンソンヘルステックジャパン株式会社は2016年12月7日に12回目となる定期セミナーを本社にて開催した。

講師には米国で37店舗のフィットネスクラブをチェーン展開する「フィットネスコネクション」社長兼CEOであるジェフ・スキーン氏(以下、ジェフ氏)を招き、スタジオ型クラブの急伸とそれに対する総合クラブの戦略、米国におけるフィットネス&ヘルスケアの今後の展望など、事例を用いて紹介した。

下記では、講演にて同氏が語った、成功のためのポイントをまとめている。

多様なフィットネスクラブが誕生し、クラブ間での競争が激しさを増す


米国のフィットネス市場の変遷についてジェフ氏は次のように語る。「私がゴールドジム・インターナショナルに在籍していた、90年代初期〜中期にかけては競合の脅威はほとんどなく、差別化やマーケティング予測、メンバーの維持は今ほど難しくありませんでした。

しかし、90年後期から00年代にかけ、エクスプレス型クラブのエニタイムフィットネス、CrossFitなどのスタジオ型クラブなどの新業態が誕生してきたことで、従来のマーケティングだけでは競争にうち勝つことが厳しくなってきました (図1)。

そこで、当クラブでは市場でのポディショニングを月会費10〜20ドル(1,100〜2,200円)の低価格帯クラブへと変更し、大規模面積で高付加のサービスを提供するフィットネスクラブとしてのポジションを確立しました」

①
図1 米国フィットネスクラブの変遷と各クラブの特徴

見込客に届くマーケティングが不可欠

同社では商品、価格面において他社との差別化を図ることに加えて、会員獲得や退会防止においても、積極的にデジタルツールを活用したマーケティング活動を展開している。イン ターネットやソーシャルメディアを利用した新規会員獲得を強化するため、Epsilon社(米国の大手CRM/ダイレ クトマーケティング会社)、Sneeze it社(SEO対策、ソーシャルメディア戦略)の2社と契約。

従来型のDM、テレビやラジオなどの広告から、リスティングやSNSを利用した広告へ移行したことで全体の広告費を24%削減した。

一方で利用者数、オンライン入会などの主要指標は導入前と比較し大きく改善することに成功。今後もデジタル広告への移行を進め、15年には広告全体の13%しかなかったリスティングやSNSなどのデジタル広告は、17年には53%まで増える予定である。一方、15年には全体の87%を占めていたDM・テレビ・ラジオなどの従来型の広告手段は17年には47%まで減少する見込みである。

【主なデジタル広告例】

・バナー広告(競合比較広告、期間限定での料金設定、有効期限(緊急性)と価格変更の透明性(図2))

・コンバーサントデジタル広告(ターゲットを絞った広告プラットフォームへのデジタル広告)

・リターゲティング広告(過去のHP訪問者への広告表示)

・Google広告、Bing広告(キーワード検索広告)

・Yelpリスティング広告(口コミレビューサイト)

・Facebook広告(地域・属性をした広告)

・メールマガジン

②

図2 新規会員獲得に向けたインターネットバナー広告例

顧客満足度を最大化し、会員の継続率を高める

米国では次々に新業態のフィットネスクラブが誕生し、顧客の選択肢が増えたことで、会員に継続利用してもらうことが難しくなってきている。なかには退会率が70%を超えるクラブもある。同社では会員の継続率を高めるため、Medallia社(会員からのフィードバック技術を導入)、2Rivers社(価格および会員との関係から、継続率を高めるための分析)の外部パートナーと提携。自社の会員データベースを広範囲に渡って分析し、退会へつながるリスク要因を割り出したうえで、退会防止に向けたアクションプランを着実に実行している。

【分析した主な項目】

・会員変化の季節要因

・入館数

・メンバーシップの種類

・契約内容

・支払条件(前払い料金、月会費、請求データ-クレジットカード/振込)

・年齢

・特別オファーへの反応

・物販やサービスの購入履歴

実際に行った退会防止のキャンペーン効果について、ジェフ氏は次のように語っている。

「今回の調査でわかったのは、入会時に支払った金額が多く、月会費が低い会員ほど継続率が高いということでした。しかし、それ以上に重要なのは、会員ごとのメンバーシップに付随されているサービスの数が退会率に大きく影響を与えているということです。

そこで、我々は既存会員に対して、高価格プランへアップグレードすることで、追加のオプションサービスが得られるテストキャンペーンを実行しました。追加オプションのなかでも『無料でゲストを帯同できる(ゲストは無料で利用可能)』というオプションは会員からの満足度が非常に高く、約30%の方が低価格プランから高価格プランへアップグレードしてくれました。キャンペーン全体では、高価格プランへアップグレードする会員が増えただけでなく、継続利用率を高めることにも成功しました。

また、今回のキャンペーンでオプションサービスを追加して高価格プランにアップグレードした会員は、通常の高価格プランの会員と比べて顧客LTVが10%も高くなることがわかり、低価格プランの会員と比較すると約70%近い差が出ています」

同社では2River社と共同で独自のアルゴリズムを構築し、退会から3ヶ月以内の顧客に対して対象顧客が望むであろう最適なインセンティブを付加したオファーを行うことで、再入会を効果的に促している。こうした取り組みの成果もあり、同社では1年間で退会率を5%改善させることに成功している。

今回のセミナーでは米国フィットネ スクラブにおけるマーケティング戦略を中心とした内容であったが、どれも日本のフィットネスクラブにおいても即実践可能なものが多くあると感じられた。 このほかにもセミナーでは、アメリカのフィットネス業界における今後のトレンドとして、ヘルスケア分野における医療業界や民間保険会社との連携事例などが紹介された。