FITNESS BUSINESS

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【2017年3月期 主要各社の決算概要】 フィットネス各社、増益を実現

2017.07.28 金

③セントラルスポーツ:既存店会員が増加、収益を押し上げる


既存店会員増により、利益伸長

セントラルスポーツ株式会社(以下、セントラルスポーツ)の2017年3月期決算(連結)における売上高は527.12億円(前期比2.0%増)、経常利益は39.73億円(同24.2%増)、純利益は27.24億円(40.8%増)となった。売上高は微増にとどまったが、利益は大いに伸びた。その要因としては、既存店のフィットネス会員数が、前期比2.2%増、スクール会員数が4.1%増と伸びたことに加え、子会社の明治スポーツプラザの業績が堅調に推移したことによる。既存店の会員数の伸びは投資や費用の増加をそれほど伴わないために、「(利益が)当初の想定以上に伸びた」(同社代表取締役後藤聖治氏)。

セグメント別の売上高では、フィットネス部門が304.07億円(前期比3.6%増)、スクール部門が114.62億円(7.8%増)、業務受託部門が56.73億円(▲11.6%)となった。業務受託部門の売上高が減少した主な要因は、契約の見直しに伴い4店舗を直営化したためである。フィットネス部門へおよそ5億円、スクール部門へおよそ5億円強を振り替えている。

財務的には、減価償却費15.48億円とほぼ同額の15.43億円を手堅く設備投資にまわしている。ただしこの設備投資額には、投資に伴う費用は含んでいない。有利子負債も、この間に年々減少させてきていて、期末時点では54.37億円まで下げてきている。同社としては、今後も借入金を減らす方針で、「財務体質を強固にしたい」(後藤氏)考えをもつ。

リニューアル店舗は、在籍会員が平均10%増

出退店、および業態変更については、表1の通りである。 出店は7店(直営5店・受託2店)、業態変更2店(直営2店)、退店1店(受託1店)である。近年の出店は、「ジムスタ」業態や「同24」業態が多くなってきているが、24時間営業の小型業態について、同社は、大型複合タイプの既存店の近くに出店して利便性を求めるニーズに対応し、対象地域を面で押さえていくマーケティング戦略をとろうと考えている。

また、セントラルスポーツは開設から20年以上の施設が100店ほど(内40店は30年以上)あることから、毎年5店舗ほどを選び、比較的大規模なリニューアルを順番に実施している。2017年3月期にも5店舗に、風呂を新設した、既存のスタジオをホットスタジオへと改修したりするなどのリニューアルを実施。その結果、過去1年間で、リニューアルした店舗については、平均10%の在籍会員増を実現している。最も会員数が伸びた川越店では、リニューアル後1年間で14.4%の会員増を実現している。現在、同社の総店舗数は、直営147店、受託62店の209店である。

表1

個人会員、前期末比2.6%増

個人会員、前期末比2.6%増、2017年3月期の期末会員数(個人)は、427,000人(前期比2.6 %増)であった。内訳は、セントラルスポーツ393,000人、明治スポーツプラザ25,000人で、ほぼ全体の5割を占める。残りの5割は、3割をスクール会員が占め、2割をカルチャーほかの会員が占めている。フィットネス会員の平均年齢は、52.1歳となっている。男女比は、48.6:51.4である。法人会員数は、1,050社となっている。

心拍可視化プログラムが幅広い会員層から人気

2017年3月期の主な取り組みとしては、新しいプログラムとして、心拍可視化プログラムを導入。「X-FIT FATBURN」「同FIGHTING CORE」など、シリーズ化して、現在8プログラムを揃え、全国およそ100店舗で展開している。当初、若年層を対象として開発したが、提供を始めてみると、シニア層含め幅広い層に受け入れられた。

また、研究所が所有し、活用していたスイムミル(流水プール)を、スイミング技術を高めたい一般の会員にも開放し、専門的なアドバイスをする有料サービス「Swim Lab」も導入した。さらに、積水化学工業株式会社住宅カンパニーと協業し、健康寿命を延ばすためのリフォームサービス「うちジム」「そとジム」を提供したり、CSR活動として「着衣水泳教室」(2017年3月期実績:約200施設20,000 )を提供したり、ガーナの自立支援活動を行っている「一般社団法人Enije」の活動へ協力するなどの取り組みも行ってきている。

2018年3月期も増収増益を予想

2018年には、現在のところ表2の5店(直営3店・受託2店)の出店を発表している。これら以外にも出店がありそうだ。後藤氏は、「(小型店に加え)大型・中型の店舗も年間3店ほどのペースで出していきたい」と語っている。また、退店については、現在のところ、予定はない。

セントラルスポーツは、2018年3月期の売上高(連結)として、555億円(前期比5.3%増)、経常利益として43億円(同8.2%増)、純利益として28.4億円(同4.2%)を見込んでいる。同社は、利益の伸びを多少押さえても、施設と人材に積極的に投資して、安定的に成長していくことを目指す。

人材については、パーソナルトレーニングの需要の高まりを受けて、パーソナルトレーナーの育成を図っていく予定である。

表2

東祥:7期連続増収、6期連続増益

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