FITNESS BUSINESS

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【NEXT 6月特集】世界で活躍する日本人トレーナー  

2017.06.16 金 スキルアップ
6月号⑫

#2 元EXOSパフォーマンススペシャリスト 阿部勝彦さん

【EXOS】
1999年、「アスリーツパフォーマンス」としてアリゾナに設立されたトレーニングサービス提供企業。アメリカ4大プロスポーツのチームや選手をはじめ、世界のプロスポーツ選手や代表選手、プロ選手を目指す学生アスリートなどをクライアントに抱える。EXOSが構築した動作評価システムやトレーニングシステムは世界的に影響を与えてきている。近年法人フィットネスにも事業を拡大している。

EXOSといえば、世界のトレーニングコーチやアスリートが憧れる場所。ファンクショナルトレーニングやパフォーマンストレーニングの殿堂的存在で、世界のトレーニングシーンに大きな影響を与えてきている。阿部勝彦さんは、そこで通算8年以上社員トレーニングコーチとして選手たちのパフォーマンストレーニングやインターントレーニングコーチの育成などに携わってきた。

6月号⑧EXOSパフォーマンスコーチになるまでの経緯

米国ではアスレティックトレーナーとトレーニングコーチ(ストレングス&コンディショニングコーチ)の役割が分けられているが、阿部さんは、後者のトレーニングコーチとしての仕事を追求してきた一人。その経緯をこう話す。

「高校時代に野球をしていて、トレーニングコーチという仕事に興味を持ちました。当時から、自分がイメージするトレーナーはトレーニングコーチでしたが、当時、自分の将来イメージに一番近いことが学べそうな場所が日本にはなく、アスレティックトレーニングの専門学校がその中でも必要な知識が学べる教育機関でした。

少数精鋭でかなり勉強できたのですが、トレーニングコーチとして活動するには現場経験が必要だと思い、米国留学を決めました。トレーニングコーチを目指していたので、とにかくスポーツが盛んな学校として、アラバマ大学を選びました」

アラバマ大学は、アメリカンフットボールを中心に全米でもレベルの高い選手が集まるスポーツの強豪校で阿部さんは在学中にS&Cコーチとしてアメフトや女子ソフトボール、バスケットボール、女子サッカー他、さまざまなチームで活動するほか、ウェイトルームでトレーニング指導を行い、さらに、夏休みなどには民間のトレーニング施設でのトレーニングコーチとしても経験を積んだ。


6月号⑨


大学在学中からEXOSでのインターンを志望したのも、「どんな人にも適切なトレーニングが提供できるようにしたい」という目的があったからだ。EXOSも当時からアスリートへのトレーニングシステムを、法人フィットネスや、一般生活者への指導へと展開し始めていた。

阿部さんの学部ではインターンシップの授業は履修科目にはなかったが、教授に直談判して、トレーニング指導のインターンを授業の単位として認めてもらえるように頼み、1学期間じっくりEXOSでのインターンに取り組んだ。その時の仕事への姿勢や実力が認められ、卒業後もEXOSとの関係が長く続くことになる。

阿部さんはその後、シアトルマリナーズや、ヤクルトスワローズをはじめ、様々なチームのトレーナーの仕事に就くが、契約の合間にはEXOSでの仕事が待っていた。こうして、現在までに阿部さんはトレーニング指導のプロフェッショナルとして、老若男女、アスリートでも一般生活者でも、大学など公共施設でも民間フィットネスクラブでも、グループでもパーソナルでも、どんな場面でも的確なトレーニング指導が提供できる力をつけてきた。

2017年から日本に活動拠点を移したが、きっかけこそバスケットボール日本代表チームのパフォーマンスコーチの仕事だが、トレーナー養成に関する仕事や、ランナー専門ジムのアドバイザーをはじめ、多種多様なオファーが後を絶たない。その経験から日本でのトレーナーとしてのキャリアづくりについてこうアドバイスする。

「アメリカではスポーツビジネスが発展していて、一つの組織に所属することで生計が立てられますが、日本では、一つの所属で十分に安定した収入を得るのは難しい方も多く、トレーナーとしてもいくつかの仕事を兼任する必要がありますね。でもその分、日本人の良さでもありますが、自分の役割に限定せず繋がりを考えて仕事をしたり、部分最適でなく全体最適を考えて仕事ができます。欧米ではトレーナーの仕事も分業されて、役割も限定されますが、日本のほうがトレーナーとして環境適応力を高めたり、選手の課題を包括的に解決するサポートがしやすいとも言えます」


6月号⑩


阿部さんは、その点からも日本でトレーナーを目指している人に、トレーナーの勉強や仕事だけを真面目にするだけでなく、好きなこと、やりたいことを全力でやって、どんな環境にも適応できる力をつけることを勧めている。阿部さんにとってはマウンテンスポーツがそれ。トレイルランやマウンテンバイクを楽しみ、そこでの学びや人との繋がりも、トレーナーとしての肥やしになっているという。

ビジネスの世界でも自然界でも適者生存という言葉がある。環境に最も適したものが生き残り、適していないものは滅びていく。トレーナーとしても様々な環境に飛び込み、どんな環境、どんなクライアントにも対応できる力をつけることこそが将来に繋がるということだ。

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