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ウェルネスの効果を最大化する!アメリカ栄養指導の最新事情-

2015.06.16 火 オリジナル連載

『グルテンフリー、ダイアビティック、ヴィーガン、コッシャー、ハラール、ラクトオボベジタリアン、ペスカトリアン。※』これらの言葉にピンと来られる方は国際的食通!

食の多様化は一層進む

日本にいると聞きなれない言葉ですが、こちらは食事規定の種類です。私の住むアメリカはまさに人種の坩堝。様々なバックグラウンド、文化を持つ人の数だけ、食事の種類も日本に比べ多くあります。レストランも色々な種類がありますが、同じ場所で食事をとっても、スターバックスのオーダーようにアレンジが可能な場合がほとんどです。日本においても、近年は食物アレルギーをお持ちの方が増加傾向にあるといいます。今後、食事において更に多様化が進んで行くことでしょう。

ウェルネスの大切な三大要素は運動、休養、そして栄養。健康増進、ダイエットやボディメイクにおいて、食事指導と運動指導を組み合わせる事により、顧客の求める結果が早く、確実に得られることは明白です。多様化しているアメリカのフィットネス業界は、栄養指導をどのように顧客にアプローチしているのでしょうか。

20150616_奥野亜矢さん連載画像①

アメリカにおける総合フィットネスクラブは、原則施設利用以上のサービスは有料となっています。日本のように会員権を購入することによるマシン指導やカウンセリングなどの付帯サービスは基本的になく、栄養指導を受ける場合は、パーソナルトレーニングを購入する、またはニュートリションコーチ(栄養指導者)のセッションを購入するパターンが一般的です。フィットネスクラブにおいて栄養指導を受ける場合、LA近郊の大手高級クラブ「イクイノックス」ではパーソナルトレーナーが、大型総合クラブ「ライフタイムフィットネス」では専属栄養トレーナーが指導するオペレーションになっています。

栄養学・食事に関する認識の浸透が重要

しかし、アメリカにおいても長年栄養指導は避けられていた項目でした。それは運動指導に比べ、管理方法が難しいということが理由として挙げられます。食事指導は机上の栄養素、カロリー計算のみならず、食行動に伴う心理的なサポートも必要とします。運動指導と同様に奥が深く、更に顧客との関係性も大切になります。また専門化が進んでいるアメリカでは、運動、栄養がそれぞれ別の資格制度になっており、両方を包括的に教えられるパーソナルトレーナーが少ないことも、栄養指導の普及が滞っていた原因と言えるでしょう。しかし近年この栄養指導に再度力を入れる業界団体が増加しています。IDEAを始め10以上の団体では、栄養学の認定資格講座を開講する予定となっています。

では、この認定資格はどのようなカリキュラムとなっているのでしょうか。パーソナルトレーナーの認定講座なども行っているNAFCのプログラム内容は、基本的な栄養科学、栄養データ、指導技法、そして機能解剖学や身体哲学に加え、近年の社会情勢に応じたアレルギー、食物不耐性症, 食事指針を取り入れ、より実践的な内容になっています。

栄養指導は、日本、アメリカ共に運動指導に比べるとまだまだ発展途上のマーケットと私は考えます。まだまだ巷に溢れる断片的な「これを食べると健康になる」というメディアの情報に消費者が翻弄されており、本質的な栄養学、そして何より食事を含む生活習慣が今の自分の身体を創っているという根本的な認識が浸透していないと思います。

ウェルネスの大きな柱である栄養指導。多くの方の健康をサポートする大切な要素であると同時に、ビジネスチャンスが多いにある分野であると思います。

※グルテンフリー(糖質制限食)、ダイアビティック(糖尿病食)、ヴィーガン(厳格菜食主義)、コッシャー(ユダヤ教食)、ハラール(イスラム教食)、ラクトオボベジタリアン(卵・乳製品をとる菜食主義)、ペスカトリアン(魚をとる菜食主義)  

参照:IDEA

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奥野 亜矢

ロサンゼルス在住。自身の柔道家としてのアスリート生活の経験から、「大好きなスポーツ、フィットネスを通じて多くの人を幸せにしたい!」と志しフィットネス業界へ。
コナミスポーツ、ハイパーフィットネスにてトレーナー、グループエクササイズディレクター、そしてクラブ支配人を経験。”フィットネスの本場 アメリカ”でビジネスキルを磨き、挑戦するため渡米。高級クラブThe Sporting Clubや大学フィットネス事業部にてグループエクササイズ指導、クラブマネジメントに携わる。