fitnessbusiness62
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September-October 2012 ◎ Fitness Business 6225小規模施設の成立要件特 集FeatureCase1ダンススクール参加へのハードルを下げ、バリューイノベーションを実現THE☆STAGE─株式会社東急スポーツオアシス需要創造プロジェクトからの 事業創出ユニークなダンススクール業態である「THE☆STAGE」は、株式会社東急スポーツオアシスが時代のニーズをつかみ成長するための事業を探ろうと、社内に立ちあげた「需要創造プロジェクト」のなかから生まれた。社歴や性別、職務内容などを問わず選抜した社員を5つのグループに分け、それぞれのチームでブルーオーシャン戦略のステップに基づき新規事業を創造的に案出していったところ、「通うだけで痩せるダイエット食堂」や「高齢者が集まる大人の休日倶楽部」など、100以上のユニークなアイデアが挙がり、そのなかから事業性や投資効果なども勘案して、最終的にこの「THE☆STAGE」を将来の成長を担う事業として創り上げていくことになった。プロジェクトは「探査」というステップから入った。これは、主に3種類のノンカスタマー(フィットネス業界が顧客の対象とみなしていない層・かつて会員だったが、今はほかのサービスを利用している層・現在会員であるが機会があればほかのサービスに切り替えようと思っている層)に、時間の使い方やスポーツ、健康に対する考え方について丹念に時間をかけてヒアリングし、特定のニーズを顕在化していくワークである。グループ内での話し合いのなかで特に挙がったことは、「お客さまは通いたいと思っているのになかなか通い続けられない。それは提供側の工夫が足りないからではないか。とりわけ従来型の健康になれる要素に加えて、楽しめる要素が不足しているのではないか」といったことであった。そして、楽しめる要素を備えるには「(マズローの欲求5段階説の)自己実現できる」「達成感がある」「同じ共通点をもった人々が集まれる」「人とつながっていたい」「帰属していたい」「短期に目標を達成したい」「決まった曜日・時間に通える」「経済的負担が少ない」「子どもの成長を健全に促したい」といったニーズを満たす必要があるだろうという結論に至った。さらに、こうした要件を満たすサービスの在り方として、子どもや若年層の間で人気が出ているダンスに着目し、ダンスをしている人、これからしたいと思っている人、代替えサービスをしている人たちのペインポイント(悩みの種)を解消して、そこにソリューションを提供できる新しいサービスがつくれないかと考えた。特に、「誰が何のためにこのダンススクールに参加するのか」については突き詰めて考えた。こうした思考過程を経て、“業界初となるレッスンとライブステージが1つになった手の届くエンターテインメントスペース”の構想がまとまった。これはたまたまタイミングが合ったのだが、ダンスは2011年に小学校の授業への導入が決まり、さらに’12年からは公立中学校での授業が義務化されるなど、フォローの風も吹き始めていた。「THE☆STAGE」の事業化にあたり、実務面で中心的役割を果たした執行役員経営企画部長八幡全一氏は、この事業化の目的として、とりわけ子どもたちの健全な成長をダンスを通じて促すことを挙げ、「子どもが成長するうえで、自分に自信がもてるようにサポートできたらうれしい」とダンス技術の習得を超えた、さらにその先の価値の実現を見据えている。5つの差別化ポイント同スタジオの5つの特徴は以下の通りである。1)大人から子どもまで3世代、誰もが楽しめるエンターテインメントスペース「お子さまの成長記録の場」「練習成果発表の場」「スポットライトを浴びる場」など様々な世代のお客さまが抱く“あったらいいな”の実現を目指している。そのため、練習だⅡ前掲したポジショニングマップの4業態に位置する総計10の事例について取り上げ、それぞれの施設の経営の現状を示し、ビジネスモデルを整理したうえで、事業を成立させるうえでのキーポイントや注意点などについてまとめてみた。Case Study 事例研究

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