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Fitness Business 62 ◎ September-October 201224小規模施設の成立要件Feature特 集また総合業態の施設が出店できるマーケットであっても、それが捉えることができないニーズを満たす業態をとる施設として開発され出店したりすることによって経営を成り立たせている。日本でも、近年「カーブス」や「エニタイムフィットネス」「ドゥミ ルネサンス」などサクセスフルな展開をする小規模施設が目立つ。小規模施設と一口にいっても様々な業態があるが、延床面積と月間客単価の2軸で世界と日本のそれをポジショニングすると、グラフ1の通りとなる。第一象限は、デザインされた快適な環境で確実に成果を提供するブティック業態、第2象限は、環境的にはやや狭いが、トレーナーがオーナーを兼任するなどして専門的なファンクショナルトレーニングをパーソナル形式またはスモールグループ形式によってほぼ日替わりメニューで提供していくマイクロジム業態。第3象限は、手軽な価格で気軽にエクササイズできるバジェット業態。ここにはエントリークラスを中心としたスタジオやサーキットトレーニングジムなども含めることができよう。第4象限は、相応の延床面積を備えながらも比較的低料金で1,000〜2,000名の会員が在籍するパブリック業態。公共のスポーツ・フィットネス施設などもここに含めることができよう。こうした小規模施設が多数出店して各地の生活者の健康ニーズを満たす動きは、お客さまやベンチャー起業家にとって歓迎すべきことだろう。また、それはインストラクターやトレーナーの活躍する場所を増やし、そこでの経営・運営を通じてキャリアアップを実現する機会にもつながる。主に総合業態の施設を展開する大手企業にとっても総合業態を補完するような業態が開発できるならそれに取り組む意味もあろう。すでに株式会社ルネサンスが若年層のフィットネスニーズを「ドゥミ ルネサンス」で取り組み、一定の成果を挙げていることなどは、そうした取り組みをすることが非現実的ではないことを証明している。投資規模が少なく経営的リスクも小さい小規模施設であるが、相応の利益を得られるモデルを開発し、経営を成り立たせ、成長を持続させることはそれほど簡単ではない。先に現在存在する施設をポジショニングマップに落とし込んで整理してみたが、果たして小規模施設全般を通じて共通する成立要件はあるのだろうか? あるいは各象限ごとに示したように業態・カテゴリー別にその事業を成立させる要件や陥穽といったものがあるのだろうか? 本稿では、かねてから温めていた小規模施設のアイデアを熟慮のうえ、近年事業化したプレイヤーの事例と業界識者へのインタビューをもとに、こうした点について明らかにし、今後小規模施設による事業に参入する企業にヒントを提供したいと考えた。◆グラフ1-a 世界の小規模施設のポジショニングマップ◆グラフ1-b 日本の小規模施設のポジショニングマプ

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