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Fitness Business 62 ◎ September-October 201218注 目 の 動 き“トランスフィットネス”で地域支援事業の受託を促進自治体から好評のトータルサポートシステムNews & Trends指定管理者として京都テルサフィットネスクラブなどの運営をするノーザンライツ・コーポレーション(以下、ノーザンライツという)は、自治体が進める地域支援事業をサポートするための指導だけでなく、トレーニングマシンなども自治体指定の場所に持ち込み、サービスを提供する仕組み「トランスフィットネス」(商標登録済)を作り上げ、自治体から高評価を得てサービスの提供先を広げている。自治体の課題を解決する仕組みを開発介護認定されていない65歳以上のうち、自治体が行う簡単なチェックシートによる健康度診断で虚弱と診断された方に、二次予防対象者(かつての「特定高齢者」)に対して、全国各地で「地域支援事業」として介護予防プログラムが提供されている。だが、ここには様々な課題が残されている。例えば、「筋力向上、栄養改善、口腔ケアを一体化して提供することが難しい」「筋力トレーニングマシンなどを導入する予算が簡単に捻出できない」「マシンなどを設置する場所がない。常設するとその場所の使用用途が限定されてしまう」「指導者がいない」「安全管理が心配」「高齢者の利用に適さないマシンが設置されている」「参加率や継続率が悪い」「効果(医療費の減額や要介護への抑止など)や利用者の反応が見えにくい」「マシンを設置しただけでは動機付けにならない」「『健康教室』形態のみを提供する場合は、参加率は高いが定期開催が難しい」「転倒予防教室などは特定の利用者はリピートするが、新規での受講者が増えない」などである。ノーザンライツはこうした課題を一挙に解決する「トランスフィットネス」という仕組みを考えた。トランスフィットネスとは、介護予防のためのトレーニングに相応しい油圧式筋力トレーニングマシン(ザオバ社製)をノーザンライツが所有し、公民館や集会場など自治体が指定する場所へ自社のトラック(2t車)で運搬し、指導員もセットで派遣する、いわゆる出張型のフルサービスシステムである。ケースによっては、地元のタクシー会社などと提携し、参加者の自宅とトレーニングを行う場所の間を送迎するサービスも加える。また、通常は油圧マシンを使ったサーキット形式(12ステーション)による「元気はつらつトレーニング」と、グループで椅子を使って行う「サッソウ・いきいき体操」、認知症予防に対する作業療法、栄養・口腔の複合型レクチャー、事前のカウンセリング、事後の評価などから構成された2時間に及ぶプログラムを週1回、3ヶ月間全12回(定員24名)提供することにしているが、その内容は対象者の健康状態や参加回数などを見て、柔軟に変えている。最近では、自治体の要望から看護師まで派遣することもある。トランスフィットネスを きっかけに受注を促進ノーザンライツは、改正介護保険制度が施行となる2006年4月を目指して事前に、まず油圧マシン8台とバーサボール、チューブなどの備品一式を300万円で購入。さらに、それを積載するパワーゲート付きの2tトラックを中古で200万円で購入。提供スタッフとプログラム内容を詰め、トレーナー教育を施した後、企画提案書をまとめて各自治体を周った。初年度に自治体から年間2クールの地域支援事業を受注してから現在7年度目に入るが、平成23年度は、年間46クールの地域支援事業を受注しているほか、健康教室などの事業も数件受注している。トランスフィットネスの場合、1クール12回のうち、1回あたり6〜8万円ほどの受注金額となっている。マシンを常設してある場所に指導者のみ派遣するときの受託料は1回あたり4〜5万円であるため、1回あたりの金額が2〜3万円高まることになる。そのため、当初からこのトランスフィットネスを中心に営業を展開していたが、その後、要望に応じて柔軟に指導者のみの派遣についても受けるようにした。トランスフィットネスのメリットとして、ノーザンライツ、トランスフィットネスグループリーダー浅野清心氏は次のように語る。「(参加者の)自宅近くで開催できるので参加しやすくなります。一般的にグループエクササイズのみの介護予防プログラムは男性の参加が少ないのですが、油圧マシンを使うことで、男性も参加してくれるうえ、運動効果も高まる」。ここまでの行き届いたサービスを仕組みとして構築し、提供している受注企業は全国を探してもノーザンライツ以外見当たらないだろう。同社代表取締役河田繁治氏は、「自治体からの要望に『NO』と言わず、できる限り応えようと考えてきた結果です」と、謙虚に語っている。同社はその貢献が評価され、年度ごとに受注額を増やし、トラックやマシンなど初期投資を早くも3年目には回収している。また、トランスフィットネスによる地域支援事業の業績が評価されて、そのほかの事業が受注しやすくなるなどの副次効果を得ている。さらにこれらの実績は本業である指定管理業務の再委託についてもその可能性を高める大きな材料にもなっている。

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