『フィットネスビジネス』 No.51
25/38

November-December 2010 ◎ Fitness Business 5175Hit Itemティップネス商品のパッケージ化、webの充実で認知度を高めるティップネスでは有料のマンツーマントレーニングをフルオーダー商品とパッケージ商品に分けたり、webでの予約システムを整備したりして初回購入のハードルを下げる一方、無料のマンツーマンサービスも充実させ、会員の継続意欲を高めるとともにスタッフ全体のサービス力も向上させている。目的・内容・期間が明確な パッケージ商品の展開ティップネスでは、フルオーダーの「パーソナルトレーニング」のほか、目的に応じたわかりやすいマンツーマントレーニングとして、2008年から「ボディチェンジ」というパッケージ商品を販売している。「パーソナルトレーニングは個人の目的に合わせることができるため満足度は高いのですが、訴求にあたってその価値を伝えにくいという難しさがあります。商品をパッケージ化することで内容、期間、金額が明確にできるので、興味をもちやすくなります」こうして商品化された「ボディチェンジ」は、週2回、8週間35,700円で提供されるシェイプアッププログラムだ。狙い通りわかりやすさが功を奏し、パーソナルトレーニング初心者のお客さまにも好評を博している。一方同社は、会員継続率向上の施策として入会から1ヶ月間「トータルフィットネスサポート」という無料カウンセリングサービスも提供している。これはヒアリング、測定、トレーニング計画の提案、再測定という一般的な流れだが、MARUNOUCHI STYLEで好評だったFMS(動きの評価)や、コンディションチェック(生活や食習慣評価)といった測定軸を増やしているのが特徴だ。無料カウンセリングを充実させることでどのレベルまでが会費内のサービスなのか、線引きが難しくなることもある。これについて小林知之氏は「欧米では、マンツーマンで行うものや個人に合わせてカスタマイズするものは有料という考え方です。当社も基本的にはそうですが、無料カウンセリングは継続率向上が目的で、内容も基本的なことから始まり、ある程度のパッケージ化がされています。一方でパーソナルは会費外収入が目的で、基本的にすべてフルオーダーです。現時点では似て異なるものだと考えています」と話す。パーソナルトレーナーは 契約形態により一長一短販売拡大の1つのポイントとして、認知度向上を挙げる同社だが、プロモーションが難しい面もあるという。同社は7割近くのトレーナーが業務委託契約である。業務委託は専門性の高い即戦力を採用できる一方で、キャンペーンなどの一斉プロモーションを行うことが難しい。価格インセンティブの設定がしにくく、常駐のかたちもとりにくいためだ。一方、雇用契約のスタッフは、インセンティブやシフトのコントロールはしやすいが、専門性の教育などにコストと時間がかかる。パーソナルトレーニングを販売し始めたころよりスタッフの内製化率は徐々に高まっているが、積極的にどちらかに割合を変えていくことは現時点では考えていないようだ。「運動を教えるための専門性やスキルの重要性は増していると思います。そのようななかで、スタッフはパーソナルトレーナーよりもレベルが低いと思われてしまうことのないようにしなくてはなりません。一方、スタッフ教育の専門性が上がれば、パーソナル業務に特化するなどのキャリアパスはあってよいと思います。そうすることで継続率も高まり、会費外収入も上がるはずです」同社では、契約には同社の指定した外部資格を取得していることが条件となる。また、業務委託者向けの教育事業「FITVIT」でトレーナー向けの教育機会を提供している。「パーソナルトレーナーは運動科学的な知識があることは当然で、総合的な意味でお客さまに対応できるかがポイントです。基準を定めるのは難しいと思いますが、“いいトレーナー”は売り上げがあがるから残りますし、そうでない方は自然と淘汰されていきます」webシステム、商品の充実で 会員さまへの訴求を図るパーソナルトレーニング訴求のために利便性を高めようと、’08年からはweb予約を開始した。ホームページ内では各トレーナーを紹介して、お客さまが選びやすいようにしている。今後はさらに情報を整備して浸透させていくことが課題となる。また、今後は無料カウンセリングで得た会員さまのご意見をもとに、ニーズが高いものをパッケージ商品化していくことも視野に入れている。同社が、本腰を入れて運動サポートをできる仕組みづくりに取り組み始めた。これにより、会員定着率や紹介入会率も向上していくだろう。株式会社ティップネス マーケティング部 小林知之氏

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です