『フィットネスビジネス』 No.51
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12Fitness Business 51 ◎ November-December 2010Japan注 目 の 動 きNews & Trends改正省エネ法への対応〈前編・フィットネスクラブの視点〉株式会社THINKフィットネス、株式会社ルネサンスの取り組み2008年に省エネ法が改正され、特定事業者に選定された法人は、エネルギー使用量の削減と各種報告書の提出が義務づけられた。同法が適用される規模の異なる2社に、省エネと報告書提出への取り組みを訊いた。Case.1株式会社THINKフィットネス取締役 ゴールドジム事業部長 田代 誠氏コンセプトに沿った空調・照明設定株式会社THINKフィットネスでは、空調・照明に関して、改正省エネ法施行以前からゴールドジムのコンセプトに基づいた取り組みを行っていた。空調に関しては、「自然に近い環境で健康的に汗をかく」というコンセプトを掲げ、夏26度、冬22度の設定をキープしている。照明は「身体がきれいに見える」ことを第一に、通常のフィットネスクラブより暗めに設定し、施設内はゾーンごとに細かく電気系統を分け、採光によって切り替えられるようにしている。‘05年ごろ、節水コマを取り付けて水の使用量を2割ほど削減しており、 ’06年以降は「ジェネライト」などコージェネレーション機器を導入して、積極的にエネルギー対策を行っている。改正省エネ法が施行されてからは、財務部が責任をもち各店舗のデータを収集し、管理している。給湯部門でのエネルギー使用が少ないこともあり、数値管理の原単位は「面積×営業時間+利用者数」に定めた。店舗毎にオペレーションを再徹底オペレーション精度を上げるため、各店舗、電気のスイッチにオン・オフの時間を記したり、空調マニュアルを作成したりしている。また、施設規模でグルーピングし、他店舗や前年の使用状況を明示して比較させ、現場のエネルギー削減への意識を高めている。今後は、エネルギー、コストの両面から効果検証しながら、タイミングをみてLED機器や給湯設備の導入も考えている。Case.2株式会社ルネサンス施設開発部 副部長 省エネルギー化推進チーム 外園二朗氏施設開発部 省エネルギー化推進チーム 課長代理 小倉史郎氏使用量可視化で現場意識が向上本誌通巻第47号で、エネルギー使用量の可視化に重点を置いて省エネへの取り組みを行っていると話していた株式会社ルネサンス。同社が改正省エネ法に向けてまず取り組んだのが、自社のエネルギー使用量を把握することだった。各クラブの使用量を可視化するために’09年から各クラブに「TGグリーンモニター」を導入している。次に、各エネルギーの請求書・検針票を見てデータを入力するため、ルールをつくった。各店舗ルールが異なるため、すべてのエネルギー使用状況をまとめた入力オペレーションマニュアルをクラブ毎に作成した。同時に、各クラブ責任者にその背景や趣旨を理解してもらうために全国で講習会を行った。さらに、ここで得たデータを施設タイプ別にグルーピングし、競争意識をもって省エネに取り組めるようにしている。ほとんどのクラブに温浴アイテムがあるため、利用が増えるとそれに応じてエネルギー使用量が増える。会員増を目指しながら省エネも遂行するため、多くのお客さまが利用すれば原単位量が低減するよう原単位を「一利用あたり」に設定した。省エネ対策で室内環境を安定化外園氏は既述の取り組みを行ううえで、「省エネに取り組みながらもお客さまが不快に感じないようにする必要がある」ことを強調する。顧客満足度と省エネをバランスよく実現するために、同社は改正省エネ法施行後、各クラブの適正温度を見直した。これまでは、1年を通して基準温度25度でオペレーションを行っていたが、現在は、毎月エリア別に基準温度を設定している。適正温度を見出し一定に保つことで、個々の要望に即応して変更を繰り返すというエネルギーロスを無くしていく。温度を一定に保つことはクラブ内環境が安定し、退会の抑制にもつながると考えている。今後は、可視化してわかった各クラブの課題に対し、①オペレーションの改善、②付帯設備による既存設備の有効活用、③高効率機器の導入、④熱源システムの見直し、⑤グリーンエネルギーの活用の順で対策をとっていこうと考えている。2社を例とする改正省エネ法への取り組みは、エネルギー、コスト、顧客満足のさらなる好循環をつくり出していくだろう。外園二朗氏田代 誠氏小倉史郎氏※52号の〈後編〉では、改正省エネ法への対応について、エネルギー事業者ならではの視点から東京ガス株式会社にご意見をいただく。

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